広告業界が、サードパーティーcookieの利用廃止に向き合わなければいけない時が来た。代替手段を考える上で、サードパーティーcookieが果たす役割をあらためて確認しよう。
2021年6月、Googleは2023年後半までにWebブラウザ「Chrome」における「サードパーティーcookie」の利用を段階的に廃止するとともに、代替となるトラッキング技術を導入することを発表した。この廃止は当初の計画から約1年遅れることになった。cookieはエンドユーザーが訪問したWebサイトやログイン情報といった、エンドユーザーやデバイスに関するデータだ。エンドユーザーの訪問先Webサイトとは異なるドメインが発行したcookieをサードパーティーcookieと呼ぶ。
Chromeは広く普及している。そのためサードパーティーcookieが使えなくなった後のターゲティング広告の配信方法に頭を悩ませる広告企業は少なくない。企業のマーケティング部門は、デジタル広告に関する新しい手段を導入しなければならない可能性がある。
プライバシーに関する懸念を理由に、サードパーティーcookieを利用できなくなるWebブラウザはChromeだけではない。AppleはWebブラウザ「Safari」でサードパーティーcookieを利用できないようにした。Safariがエンドユーザーの行動をトラッキングするには、エンドユーザーの許可が必要だ。Webブラウザ「Firefox」も、2019年からサードパーティーcookieをブロックするようになった。
Webブラウザが使用できるcookieにはさまざまな種類がある。その中で普及しているのが、エンドユーザーの訪問先Webサイトと同じドメインが発行した「ファーストパーティーcookie」と、サードパーティーcookieだ。ファーストパーティーcookieは、発行元のWebサイトで発生したデータのみを保存する。
サードパーティーcookieでは、エンドユーザーのプライバシーの扱いが曖昧になっている。サードパーティーcookieの提供元である第三者も、中身のデータにアクセスできるからだ。つまり複数のWebサイトにまたがって、第三者はエンドユーザーの行動を追跡できる。例えばエンドユーザーが靴メーカーのWebサイトで靴の情報を見たとする。靴メーカーはサードパーティーcookieを活用して、そのエンドユーザーが閲覧した靴の広告を「Facebook」や「Instagram」といったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で配信することが可能だ。エンドユーザーがカヤック(小型ボート)を買ったのであれば、カヤック関連の商品を扱う広告主はその購入情報を使って、SNSのフィードやメールサービスの受信ボックスにカヤック関連の広告を表示できる。
Googleは自社のWebサイトを訪問したエンドユーザーのデータ(ファーストパーティーデータ)を、認証やエンドユーザーの好みの分析に役立てている。他方でサードパーティーcookieは、第三者の広告配信に利用するという使い分けだ。Googleによると、同社はcookieを使って第三者のWebサイトに広告を配信し、キャンペーンの効果やコンバージョン率を測定して、コンテンツをパーソナライズしている。
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