企業のデータ活用を推進するデータ関連職は複数ある。それらの職務や役割はどのように違うのか。「データサイエンティスト」「データエンジニア」「データアナリスト」の主要3種の違いを探る。
企業は概して「データサイエンティスト」を雇用したいと考えているが、その役割は目新しいものではない。過去に統計学者や保険数理士など、確率を扱う人々が担っていた役割と同じだ。
中には自社にとって適切な採用要件(例えば「IT部門で働く人材ではなく、ビジネス部門と協働する能力があること」など)を明確にしないまま、データサイエンティストの採用競争に参加している企業もある。これは、市場の未成熟さを表す。
こうした中で生まれた新たな職務が「データエンジニア」だ。データエンジニアは、データ分析の実現に必要なデータの質を維持・向上させて、データを利用しやすくする役目を持つ。システム管理者やデータベース管理者といったIT関連職を務めていた人が、データエンジニアになることが一般的だ。
クラウドサービスベンダーのSyntaxでプリンシパルコンサルタントを務めるジェニファー・ファヒー氏は、データエンジニアとデータサイエンティストの違いについて以下のように述べる。
これ以外のデータ分析関連職には「データアナリスト」がある。データアナリストには、基本的なプログラミングスキルがある人もいれば、ない人もいる。ビジネスの知識は豊富であり、データ分析業務の中核を担う傾向にある。事業部門に所属していたり、データ分析チームで仕事をしていたり、あるいは両方に所属していたりする。
直接的なデータ関連職ではないが、業務分析をし、適切なシステム設計をする「ビジネスアナリスト」にも注目すべきだ。他のビジネス専門職よりは技術寄りのスキルを持つ人材で、「シチズンデータサイエンティスト」(データサイエンスに貢献する非専門家)になる可能性がある。
最高データ責任者(CDO)、最高分析責任者(CAO)といった経営幹部クラスのデータ分析関連職は、CIOの指揮下に入ることもあれば、そうでないこともある。ビジネス判断の際に分析が重要なデジタルビジネスを実施する企業では、CIOがCDOやCAOを兼務する場合もある。
データ変換ツールを提供するCoalesce Automationの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のサティシュ・ジャヤンティ氏は、データソースの急拡大と企業のデータ分析需要に付いていくには、「事業部門にデータ分析チームを組み込むのが唯一の現実的な方法だ」と話す。「IT部門はデータガバナンスの方針策定に重要な役割を担い、質の高いデータの保有と共有を実現するデータ分析チームは事業部門に組み込む」(ジャヤンティ氏)
IT部門とデータ分析チームが、データ分析の取り組みを最大化する役割を担う。企業がビジネスへのデータ活用を強化する中で、IT部門は企業のデータ分析業務を実現するために適切なツールを検証し、データの信頼性を確認してインサイト(洞察)を生み出すために中心的な役割を担っていくことになる。
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