「Z世代はデジタルネイティブ」という思い込みこそ“間違いの原因”だった?社会人になるZ世代の真実【中編】

ある調査結果によると、労働者としてのZ世代に対して企業からの風当たりは強い。米TechTargetでインターンを務めたZ世代の大学生が、インターンの経験から得た学びや成長のきっかけになった出来事を紹介する。

2024年09月18日 05時00分 公開
[Samantha PoutreTechTarget]

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 Z世代(1995年〜2009年に生まれた世代)の中には大人になり、働き始める人が出てきている。だが以降で紹介する調査によると、ビジネスリーダーはZ世代を“戦力になる世代”だとは見なしていない傾向がある。この現実にZ世代はどう向き合うべきなのか。2024年夏、米TechTargetの編集チームでインターンシップに参加した筆者の経験から、Z世代としての学びを紹介する。

「Z世代はデジタルネイティブだから」は間違いのもと?

 学生向けに教育関連の情報を提供するオンラインマガジン「Intelligent.com」が2023年8月に公開した調査結果によると、回答者であるビジネスリーダーの40%は「Z世代の新卒者は働ける状態になっていない」と回答した。この回答者の94%は「Z世代の新卒者の採用を控えている」と答えた。「どのような点で働ける状態になっていないか」という質問に対して、回答者の70%が「勤務態度」「コミュニケーションスキル」を挙げた。この内容は、1243人のビジネスリーダーを対象に、Intelligent.comの委託で調査会社Pollfishが2023年7月に実施した調査結果に基づくものだ。

 こうした働くZ世代の現実に対して、インターンシップは有効な選択の一つになり得る。インターンシップでは、学校以外の場所で専門的なスキルを学び、実務経験を積むことができる。自分のキャリアに自信がない人であれば、インターンシップを自分の興味を掘り下げたり、キャリアを組み立てるための機会にしたりできる。

 インターンシップの利点は以下の通り。

  • 学びの機会を得られる。
    • その道の専門家が働く環境で、初級レベルの実務経験を積むことができることに加え、メールを送る際のマナーやオフィス勤務での適切なエチケットを習得できる。
  • 実務遂行能力を身に付けられる。
  • オフィスアプリケーションの使い方や、自信を持って自分の考えやアイデアを伝える方法など、独学や教室では習得できないスキルを身に付けることができる。
  • 人脈を築ける。
    • 志を同じくする人々に囲まれ働く中で、仕事に対する洞察を得ることができる。その道の専門家としての自分を想像したり、人脈を構築したりすることも可能だ。
  • フルタイムを前提としたキャリアを想定しやすくなる。
    • 大学生活からフルタイムの勤務を始めるのは容易ではない。インターンシップでの経験は、フルタイムの仕事を理解するのに役立つ。
  • 履歴書の見栄えが良くなる。
    • 希望する職種や企業に関連する職務経験があるほど、採用される可能性は高くなる。履歴書を書くときに、インターンシップの経験は有利に働く。

Z世代はインターンシップでどのような学びを得られているのか

 インターンシップは、自分の内面や自分の仕事の仕方を振り返ったりキャリアパスを想定したりする機会でもある。インターンシップのような就業機会が、キャリア形成に直結することもある。

 ここからは、筆者がインターンシップの中で実際に経験した出来事や、そこから得た学びを紹介する。

ミスを犯す

 インターンシップで恐れたことは、ミスを犯して恥ずかしい思いをすることだった。実際にミスを犯したり、特定のソフトウェアの使い方が分からなくなったりして恥ずかしい思いをした。これは「デジタルネイティブ」としてITに精通していると評価されるZ世代が感じやすい感情だ。例えばPCが突然動かなくなったり、インターネットに接続できなくなったりした場合に「デジタルネイティブであればこのくらいの問題は解決できるはずだ」という前提で他者から助けを求められたものの、対処できずに恥ずかしい思いをすることがある。こうした感情は、「テックシェイム」(Tech Shame)とも呼ばれる。

 筆者個人は、恥ずかしいという感情を我慢して時間が経てば、その感情は消えていくと考えている。インターンシップでは全く新しい仕事を始めるため、習得には時間が掛かるものだ。ミスを繰り返すたびに、周囲から私にはこの仕事が向いていないと思われるのではないかと恐れた。だが、現実は逆だ。質問したり、他人の意見に耳を傾けたりし、困難な課題に取り組む機会が増えるほど、周囲の役に立っていると感じられるようになった。

積極的にコミュニケーションを取る

 あらゆる人間関係の鍵となるのはコミュニケーションだ。自分から説明しなくても、自分がどこにいて何をしているのかを、相手は分かっているはずだと思う場合がある。それは多くの場合、誤りだ。自分が何を考えているのか、どこにいるのか、何をしようとしているのか、何が分からないのかを他者に伝えられるようになったことで、仕事をするときの心理的な負担が軽くなった。

 同僚やメンターと定期的にコミュニケーションの時間を取ることで、信頼関係を築くことが可能だ。テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を実施するのであれば、コミュニケーションが不可欠だ。筆者はテレワークでも出社しても、率先して毎日の仕事と優先順位についてメンターに共有した。

何でもやってみる

 インターンシップ中、TechTargetが公開している動画に出演した。画面に映るのは苦手なため、筆者がカメラの前に立つことはあり得ないと考えていたし、出演依頼は丁重に断った。しかしコミュニケーション能力を強化するために出演することを勧めるメンターの後押しを受け、同意した。この経験によって、新しい仕事を引き受けることへの抵抗はなくなった。

 短期間でさまざまなことを学ぶことができるのがインターンシップの特徴だ。興味がない業務でも、試しに受けてみてほしい。履歴書に書くことができるような優れた経歴になる可能性がある。

LinkedInのプロフィールを更新する

 ビジネス向けSNS「LinkedIn」の情報を更新することも大切な取り組みだ。インターン初日、メンターから「LinkedInのプロフィールを更新した方がよい」と伝えられた。その際、大学2年生からアカウントを更新せず、中途半端に情報を入力した状態だったことに気付いた。

 LinkedInが2024年2月に公開した調査レポートは、LinkedInのアカウントに最新の情報を漏れなく掲載している候補者は面接まで進む可能性が71%高くなると指摘している。


 後編は、筆者がインターンシップで学んだ社会人としての“いろは”を、反省と共に紹介する。

※本稿は、ロジャーウイリアムズ大学の学生で、米TechTargetのインターンシップに参加するジョーダン・ミッチェル氏の寄稿記事です。

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