テレワークを監視できる「RMMツール」とは? 主要ベンダーを一挙紹介テレワークを支えるネットワーク運用【後編】

テレワークが普及するにつれて、リモートでIT環境を監視したり管理したりするRMMツールの重要性が高まりつつある。RMMツールがなぜ必要なのか。主要ツールと共に紹介する。

2024年09月17日 05時00分 公開
[Paul KirvanTechTarget]

 従業員にテレワークを許可するのであれば、企業のIT部門はネットワークに必要な帯域幅を用意したり、セキュリティを確保したりすることで、従業員が円滑にテレワークができるようにする必要がある。テレワーク勤務の従業員の生産性を高めるために欠かせないのが「RMM」(Remote Monitoring and Management:リモート監視と管理)ツールだ。テレワークを円滑にするために必要な業務と併せて、主なRMMツールを紹介する。

テレワークに欠かせない「RMMツール」とは? 主要ベンダーは?

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 テレワーク勤務を容認する企業では、ネットワークとセキュリティの担当者を用意することが望ましい。テレワーク勤務の従業員をサポートするために、社内のヘルプデスク部門をテレワーク用に最適化することも重要だ。ヘルプデスクの最適化が不可能な場合は、問題をリモートで診断し、解決策を提示するために必要なツールを確保する。

 テレワークでは、オフィスで実施するような機器の交換は不可能だ。そのため、機器の手配や交換はテレワーク勤務の従業員が自分で実施する必要がある。

 問題が発生する可能性を素早く特定するには、テレワーク勤務の従業員全員とそのネットワーク接続の常時監視が不可欠だ。利用可能なネットワーク診断ツールはたくさんある。重要なのは、監視と診断の両方をリモートで行えるツールを選択することだ。以下の表は、そのようなツールを簡単に紹介している。

 次の表では、主なRMM(Remote Monitoring and Management:リモート監視と管理)ツールを紹介する。

表1 主要なリモート監視および管理(RMM)ツール(アルファベット順)
RMMツール 特徴や機能
Atera Networksの「Atera」 チケットシステムを使用する自動ネットワーク監視、パッチ管理、リモートアクセス、診断
Barracuda Networksの「Barracuda RMM」 セキュリティ管理とネットワーク監視に対応し、ヘルプデスク機能を提供するオンプレミス版ソフトウェアまたはクラウドサービス
SolarWindsの「Dameware Remote Everywhere」 使用中のPCやモバイルデバイスを無人検査するクラウドベースのツール
GoToの「GoTo Resolve」 リモート管理、パッチ適用、自動監視
Zohoの「Endpoint Central」 エンドポイント管理用に設計され、リモート監視機能を搭載
Zohoの「RMM Central」 Microsoftの「Windows Server」またはクラウドインフラ向けに最適化されたツール
N-ableの「N-sight RMM」 ネットワークの監視、分析、管理をエンドポイントからクラウドサービスまで展開
NinjaOneの「NinjaOne」 「Linux」や「Hyper-V」など幅広い仮想化環境に展開できる。監視機能や管理機能だけでなく、データのバックアップや復元機能を搭載
Udemyの「Paessler PRTG」 サーバベースのオンサイト監視ツール
SuperOpsの「SuperOps」 インテリジェントなエンドポイント管理を提供する統合プロフェッショナルサービスオートメーション(PSA)/RMMツール
Site24x7の「MSP Edition」 マネージドサービスプロバイダー(MSP)向けに設計されたクラウドベースのITネットワーク、サーバ、アプリケーション監視ツール
Servablyの「Syncro」 PSAツールとRMMツールを組み合わせるMSP向けクラウドサービス
TeamViewerの「Remote Management」 RMM機能に加えて、マルウェアからの保護機能を提供

 他にも次のような管理作業が必要になる。これらの作業をどれだけ自動化できるか、という観点でRMMツールを選ぶとよい。

  • デバイスへのパッチ適用
  • ファイアウォールと侵入検知システム(IDS)/侵入防止システム(IPS)のルールのレビューとアップデート
  • VPN(仮想プライベートネットワーク)の使用状況と使用傾向の評価
  • ネットワークセグメンテーションの管理
  • WANトラフィックの変化の監視と対応
  • リモートアクセス接続のテスト
  • リスク、脅威、脆弱(ぜいじゃく)性の分析
  • クラウドベースのテクノロジーの監視
  • テレワークに関係する災害復旧計画のレビューとアップデート
  • ネットワークが中断した場合のバックアップ体制の確立
  • テレワークのベストプラクティスのトレーニングや意識教育など、テレワーク勤務者向けのヒントやガイダンスの提供
  • 「Microsoft Teams」や「Zoom」のようなコラボレーションツールの可用性と運用の確保

テレワーク勤務とオフィス勤務の違い

 オフィス勤務の従業員は、関係するネットワークリソースやセキュリティリソース全てにアクセスできる。オフィス勤務の従業員が問題に遭遇した場合は迅速に対応でき、必要であれば IT技術者を関与させることができる。

 これとは対照的に、テレワーク勤務の従業員が職務を遂行する際にはリスクが伴う。テレワーク勤務の従業員が利用するネットワークは必ずしも信頼できるとは限らない。セキュリティ面でも、多要素認証(MFA)やVPNといったセキュリティ対策が必要になる。

 テレワーク勤務の従業員のIT環境にトラブルが発生する可能性がある。その場合、リモートでの問題診断とトラブルシューティングは、オフィス勤務よりも難易度が高くなる可能性がある。会議や他の従業員との接触にはコラボレーションツールが必要になる。予期しない中断に備えるための緊急手続きの整備も必要だ。

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