ネットワークインフラの新たな試練
「テレワーク×出社」で社内ネットワークの“あれ”がもう限界?
テレワークとオフィスワークを組み合わせる働き方が広がっている。そうしたハイブリッドワークで従業員が働きやすいネットワークを作るのは簡単ではない。ネットワークの何を変える必要があるのか。
働き方として、オフィスワークとテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが普及したことで、企業のネットワークインフラには複数の課題が発生している。コンサルティング企業Enterprise Management Associates(EMA)の調査レポートによると、ハイブリッドワークを取り入れる企業のネットワークの要件は、従来とは異なるものになりつつある。ハイブリッドワークで企業が直面しているネットワークの課題とは何か。
社内ネットワークはもう限界? 何が課題なのか
EMAは、北米と欧州のIT専門職354人を対象に在宅勤務とネットワークインフラについて調査したレポート「Modernizing Network Engineering and Operations in the Era of Hybrid and Remote Work」を2023年8月に公開した。ネットワークの監視やトラブルシューティングなど、ハイブリッドワークをサポートする業務に関わっている人物が調査対象となった。
ハイブリッドワークを採用している企業では、在宅勤務の従業員と、オフィスに出社している従業員が共に働くことになる。従業員は異なる場所で働く同僚とコミュニケーションを取るために、音声通話やWeb会議などのリアルタイム通信をするアプリケーションを利用することになる。
調査に協力したIT専門職の約90%が、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック(世界的大流行)が始まってから、音声通話やWeb会議の利用が増えている」と答えた。
あるエネルギー企業では、コラボレーションツール「Microsoft Teams」の社内利用率がパンデミック前に約50%だったが、パンデミックを経て100%になった。同社のプロジェクトマネジャーは「Web会議が飛躍的に増えたため、帯域幅の拡張が必要だった」とEMAに語った。
EMAの調査では、回答者の76%が「ハイブリッドワークによって本社や拠点のネットワークの帯域使用量が増加している」と回答している。
従業員はデスクや会議室、休憩室などオフィス内のどこでもWeb会議をする。そのため、ハイブリッドワークが常態化すれば、IT部門はオフィスのどこでもネットワークに安定して接続できる利用環境を整える必要がある。EMAの調査では、回答者の90%が「無線LANの拡張やアップグレードを求められている」と答えた。
先述のエネルギー企業でも、無線LANの利用環境が検討事項の一つになった。「ハイブリッドワーカーは縦横無尽に動き回るが、アクセスポイントがカバーできる範囲がまだ不十分なため、接続できないことがある」(プロジェクトマネジャー)
ハイブリッドワーカーは自宅とオフィスのどちらも利用する。このことが、ネットワークの管理を複雑なものとしている。企業のネットワークは従来、オフィス内の従業員が拠点からアクセスすることを想定しているが、ハイブリッドワークになると従業員が自宅からインターネットを介してアクセスする接続が加わるからだ。拠点からのアクセスは通常、ファイアウォールやIPS/IDS(侵入防止システム/侵入検知システム)で保護されているが、従業員の自宅にそのようなセキュリティ対策の仕組みはない。そのため、リモートアクセスをする従業員用の追加のセキュリティ対策が必要となる。
結果として、リモートアクセスする従業員と出社する従業員向けに、ネットワークのアクセス制御や認証のシステムを別々に構築して運用している企業が珍しくない。これはIT部門にとって負担であると同時に、従業員にとってもストレスになりやすい。
EMAの調査では、回答者の76%が「会社でネットワークを利用する場合と自宅からネットワークを利用する場合のネットワーク接続ポリシーを統合する必要がある」と答えている。ネットワーク接続ポリシーとは組織内のユーザーがどのようにネットワークにアクセスできるかを定めたルールや手順のことだ。
EMAの調査によると、ネットワーク接続ポリシーを上手く統合ができれば、テレワークやハイブリッドワークの生産性の向上が期待できる。ネットワークの安全性が高まるだけでなく、従業員が作業中にストレスを感じることが少なくなるとも考えられる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
4
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
5
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
バイブコーディングの限界を突破するお役立ちOSSツール「Spec Kit」とは
-
10
「有線LAN環境」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー