企業が「オフィス回帰」の方針を掲げると、従業員にはどのような影響があるのか。Deloitteの調査レポートを基に、今後の勤務形態を考える上で大切なポイントを探る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が落ち着きを見せる中で、「オフィス回帰」を掲げる企業が目立ち始めた。幾つかの大手IT企業が従業員に週何日かのオフィス勤務を要求している状況が明らかになっている。例えばWeb会議ツール「Zoom」を提供するZoom Video Communications(以下、Zoom社)は、オフィスから50マイル(約80キロ)圏内に暮らす従業員に週2回以上の出社を命じた。
「完全テレワーク」「週何日かの出社」などさまざまな選択肢がある中、週5日出社を義務化することは従業員にどのような影響を及ぼすのか。コンサルティング会社Deloitteが2023年8月に公開した調査レポート「Cultivating employee engagement in financial services」を基に考察する。
調査は2023年4月、米国の金融サービス企業にフルタイム勤務する幹部上位の職種700人を対象に実施した。本レポートによると、テレワークで働く回答者の約66%が、「週5日出社に切り替わる場合は退職する可能性がある」と回答した。週に3〜4日間出社することを「理想的だ」と考える回答者は18%に過ぎなかった。
この調査をDeloitteと共同で実施した、人事分野の調査会社Workplace Intelligenceでマネージングパートナーを務めるダン・ショーベル氏は「従業員が勤務日を主体的に選択できることは、ワークライフバランスの向上に良い影響を及ぼす」と指摘する。「雇用主は従業員のワークライフバランスを尊重している」と感じることができれば、従業員はその会社にとどまる可能性が高くなる、というのが同氏の考えだ。
Zoom社は「オフィスの近くに住んでいる従業員が週2日は出社してチームと交流するハイブリッドな勤務形態が、当社にとっては最も効果的だ」と主張する。しかしテレワークを前提とした勤務を希望する人材の採用を排除しているわけではなく、「場所に関係なく、最高の人材を採用し続ける」という。
ショーベル氏によると、オフィス回帰が広がるほど、中小企業は高度なスキルを持つ人材を採用しやすくなる可能性がある。後編はこの詳細について解説する。
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