IT支出が増大する中、CIOにはどのような役割が求められるのか。調査レポートや有識者の意見を基に、CIOが経営層に頼られるために注目すべき要素を4つ紹介する。
企業は引き続きテクノロジーを将来の成長の鍵と考えており、2025年のIT支出は堅調な増加が見込まれている。調査会社Gartnerは2024年10月、2025年の世界のIT支出は5兆7400億ドルに達し、2024年と比べて9.3%増加するという予測を発表した。
IT支出が増加する中、CIO(最高情報責任者)にはどのような役割が求められるのか。調査レポートや専門家の意見を基に、CIOの役割に影響を与える要素を4つ紹介する。
テキストや画像などを自動で生成するAI(人工知能)技術「生成AI」が登場して以来、企業は業務の効率化や生産性の向上、収益の増加、イノベーションの実現のために生成AIの活用法を模索してきた。
標準化団体IEEE(米電気電子技術者協会)は、2025年もこうした動きは継続するとみている。IEEEが公開した年次調査レポート「The Impact of Technology in 2025 and Beyond: an IEEE Global Study」によると、調査対象のCIO、CTO(最高技術責任者)、IT部門の管理職355人のうち、58%は「今後、最も重要な技術分野」にAI技術を挙げた。
調査会社Everest Groupのパートナー、ユガル・ジョシ氏によると、CEOはCIOに対し、AI技術を使った取り組みに期待している。生成AIを使った試験的な取り組みにとどまらず、ビジネス上の価値を生み出し、規模を拡大できる取り組みを求めている。ただしジョシ氏は、これが課題だと述べる。
コンサルティング企業/国際会計事務所KPMGは、売上高2億5000万ドル以上の企業に所属する米国の従業員400人を対象に調査を実施した。それによると、AI技術を使ってビジネス上の価値を生み出そうと取り組んでいる企業は、調査対象の39%にとどまっている。調査結果は、同社がレポート「2024 KPMG US technology survey report: The digital dividend」で明らかにしたものだ。
不動産会社Parkway Corporationのシニアバイスプレジデント兼CIO兼チーフマーケティングオフィサーであるRJ・ジュリアーノ氏は、2025年に向けて「非IT部門の従業員がイノベーションの創出に必要なツールを使用するようになる」と説明する。
一方、こうした動きはCIOやIT部門を圧迫するものだとジュリアーノ氏は指摘する。非IT部門の従業員がセキュリティやシステム運用の安定性、拡張性を確保できるようにするための責任をCIOが負うためだ。そのため、ローコード開発ツール(最低限のソースコードを記述してアプリケーションを開発するツール)、ノーコード開発ツール(ソースコードを記述せずにアプリケーションを開発するツール)、必要なデータへのアクセス、運用に必要な従業員研修などを整備しなければならないと同氏は言い添える。
調査会社Gartnerが2024年5月に公開したCEOの動向に関する年次調査によると、61%のCEOが持続的なインフレと低い経済成長を予測している。
資産運用会社Bell PartnersのITシニアバイスプレジデントであるアート・マッカン氏によると、近年の金利上昇は、同社のビジネス戦略とIT部門の優先事項に影響を与えている。これが業務上のコスト削減や業務効率の改善につながっているという。
ジュリアーノ氏はマッカン氏の意見に同意する。金融市場は引き続き不確実な状態が続くため、CIOは財務管理についても責任を担う必要がある。
CIOには、より少ないリソースでより多くの成果を挙げることを求められるという報告もある。
Gartnerは、CIOなどの経営幹部(CxO)を対象とした年次調査レポート「2025 CIO Agenda」で、CIOが取り組むべきリーダーシップ、組織、テクノロジーの優先事項を挙げている。リストの上位の項目は以下の通りだ。
この結果は、売上高17.6兆ドル、IT支出3510億ドル以上の企業で働く3100人のCIOを対象にした調査に基づく。
ジュリアーノ氏は、自社でAI技術や自動化技術への投資を進め、「より少ないリソースでより多くを実現」しようとしている。この取り組みを通じ、従業員数やコストを増やすことなく、業務効率と生産性を向上させられると述べる。
ジョシ氏によると、CIOはIT支出の中でも特にクラウドサービスの請求額やベンダー契約に対し、より厳しい管理を求められている。IT投資に対する成果を示すよう求められてもいるという。同氏によると、一部のCIOはこれらの期待に応えるため、クラウド支出を監視して最適化する「FinOps」に投資している。
次回も引き続き、CIOの役割に影響を与える要因を紹介する。
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