多くの若者が、IT業界を目指すのは手遅れだと感じているという。さまざまなネガティブなイメージも持っている。若者に機会を提供する取り組みもあるが、それも別の問題を発生させている。
コンサルタント企業Finsbury Glover Heringが英国、米国、ドイツ、中国の16〜26歳の若者2000人以上を対象に実施した調査によると、10代後半から20代前半の若者はIT業界に関心があっても、その多くはIT業界を目指すには既に「遅過ぎる」と考えているという。
英国の若者の46%は、学校ではIT関連の科目を勉強できず、その業界を目指すのは手遅れだと考えている。Finsbury Glover Heringのソフィー・スコット氏(グローバルテクノロジー部門責任者)は言う。「多くの若者がIT業界を手の届かないものと見なすのではないかという懸念が広がっている。IT業界の最大の課題は、この認識を変えて手が届くようにすることだ」
「若者の自己抑制的な考え方が障壁になる前に助ける必要がある。新たな才能を引き付けるには、若者にもっと寄り添い、機会を提供しなければならない」
英国では、若者にトレーニングを提供する取り組みも行われてきた。スキルギャップの広がりを解決して将来の就労に備えること、より多くのIT職を若者に奨励することが目的だった。
だが、まだ意欲を持てない若者は多い。IT業界には手が届かないと感じる若者のほぼ半数は、必要なスキルやトレーニングが多過ぎることを理由に挙げている。
多様性も大きな課題になっている。43%の若者はIT業界に入れるのは経済的に裕福な人に限られると考えている。IT業界は白人が突出して多く、人種の多様性が欠けているという意見も35%に上る。英国の若者の約55%はIT業界の多様性欠如を懸念しており、男性優位であり過ぎると考えられている。
英国の16〜26歳の若者の60%以上はIT業界に大きな関心を示した。ただし、関心を寄せるのは男性か、あるいは高等教育を受けた若者が多かった。
IT業界を目指す若者は37%で、男性が41%なのに対して女性は31%にすぎない。IT系の仕事を全く目指していないという女性は46%に上る。この結果は驚くに当たらない。IT業界ではスキルギャップが広がっているだけではなく、女性の人材も不足している。最近BCSが行った調査によるとITスペシャリストで女性が占める割合は約17%。この割合はここ5年間変わっていないという。
Finsbury Glover Heringは、若者がIT業界に関心を持つ理由も明らかにした。高給の見込み、イノベーションへの期待、社会に「恩返し」する機会などが理由として挙がった。中でも若者が優先しているのが、給与と職場文化だ。
医療系ITはIT業界の中で最も人気が高い。若者の66%が、医療の改善にITを活用する企業に関心を持っている。商品やサービスにアクセスするプラットフォームを提供する企業、ソーシャルメディアへの関心がそれに続く。
IT業界は長年、社内文化の低さに定評がある。長時間労働を要求される業界だという評判に若者は嫌悪感を持っている。若者の半数以上は、適切なワークライフバランスが提供されることを希望している。
社会貢献はIT業界を目指す若者にとって大きな原動力になっている。英国の若者の66%はIT業界が世界に与える影響は「悪影響よりも好影響の方が大きい」と考えている。
若者の60%以上は、現在のハイテク業界は今日の社会にあまりにも大きな力と高い影響力を持っていると考え、56%は自動化のような技術によって多くの雇用が失われると感じている。
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