厳しい経済情勢の中でも、最高情報責任者(CIO)の給与は伸びる傾向にあるようだ。ただし、その程度は企業によって差がある。特に昇給を見込める企業の特徴とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)以降、企業のデジタル化が加速してITサービスの需要は急拡大したものの、2023年は厳しい経済情勢の影響を受けてIT市場が減速した。
ただしCIO(最高情報責任者)をはじめとする上級技術職の給与は、伸びを見せている。採用コンサルタント会社Nash Squaredの調査レポートを基に、CIOの業種別平均年収の伸びや、平均年収が高い企業の特徴を探る。
2024年3月、Nash Squaredは年次調査レポート「Digital Leadership Report」の2023年版を公開した。調査は2023年6〜9月にかけて、86カ国のIT意思決定者2104人を対象に実施。同社が同時期に公開したブログエントリ(投稿)では、同調査と併せて実施した給与に関する調査の結果にも触れている。
調査では、65%のCIOが給与の増加を報告しており、その割合は業種によって差が見られた。自動車産業をはじめとする製造業では、「2023年に収入が増えた」と回答したCIOの割合は82%だったのに対し、広告/PR分野では34%だった。業種別の回答は以下の通り。
CIOの給与は、組織のIT予算に比例して上がる傾向が明らかになった。IT予算が最も少ないグループ(100万ドル未満)では、CIOの給与は平均約12万6000ドルで、第3四分位数(上位4分の1の区切り値)は13万7000ドルだった。IT予算が最も多いグループ(2億5000万ドル以上)だと、平均約28万ドル、上位四分位数の平均が42万4500ドルになった。約28万ドルは、2024年4月末時点では円換算で約4394万円となる。IT予算と給与が高いほど、手当やボーナスの割合が大きくなる傾向も見られた。
IT予算 | 第3四分位数 | 平均額 |
---|---|---|
100万未満 | 13万7000 | 12万6841 |
100万〜999万 | 18万7000 | 16万1739 |
1000万〜2499万 | 22万4500 | 19万3411 |
2500万〜4999万 | 27万4500 | 23万5310 |
5000万〜9999万 | 30万 | 24万9198 |
1億〜2億4999万 | 35万 | 26万3086 |
2億5000万〜 | 42万4500 | 28万1531 |
こうした調査結果を見る際は、平均値と四分位数(データを小さい順に並べて4等分した区切り値)の両方を把握することが重要だ。平均額には過小評価された給与も含まれるからだ。第3四分位数は採用向けの報酬額であり、ヘッドハンターは上位四分位数を給与のベンチマークとして使うことがよくある。一方で、ベンチマークだけで給与を決定することはほぼない。
次回は、CIOの採用で重要になるスキルについて解説する。
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