CIOの「平均年収」は上位層で“4000万円”級 業種別、規模別のまとめCIOの採用市場【前編】

厳しい経済情勢の中でも、最高情報責任者(CIO)の給与は伸びる傾向にあるようだ。ただし、その程度は企業によって差がある。特に昇給を見込める企業の特徴とは。

2024年05月01日 08時00分 公開
[Helen FlemingTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)以降、企業のデジタル化が加速してITサービスの需要は急拡大したものの、2023年は厳しい経済情勢の影響を受けてIT市場が減速した。

 ただしCIO(最高情報責任者)をはじめとする上級技術職の給与は、伸びを見せている。採用コンサルタント会社Nash Squaredの調査レポートを基に、CIOの業種別平均年収の伸びや、平均年収が高い企業の特徴を探る。

上昇傾向にある「CIOの平均年収」 業種別、規模別のまとめ

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 2024年3月、Nash Squaredは年次調査レポート「Digital Leadership Report」の2023年版を公開した。調査は2023年6~9月にかけて、86カ国のIT意思決定者2104人を対象に実施。同社が同時期に公開したブログエントリ(投稿)では、同調査と併せて実施した給与に関する調査の結果にも触れている。

 調査では、65%のCIOが給与の増加を報告しており、その割合は業種によって差が見られた。自動車産業をはじめとする製造業では、「2023年に収入が増えた」と回答したCIOの割合は82%だったのに対し、広告/PR分野では34%だった。業種別の回答は以下の通り。

  • 広告/PR:34%
  • ヘルスケア:48%
  • レジャー:50%
  • テクノロジー:52%
  • 金融サービス:53%
  • ビジネス/専門サービス:54%
  • 慈善/非営利:61%
  • 小売:63%
  • 電力などの公益事業:64%
  • 放送/メディア:66%
  • 遠距離通信:66%
  • 政府:68%
  • 運輸/物流:69%
  • 教育:73%
  • 医薬品:78%
  • 建設/土木:79%
  • 製造/自動車:82%

 CIOの給与は、組織のIT予算に比例して上がる傾向が明らかになった。IT予算が最も少ないグループ(100万ドル未満)では、CIOの給与は平均約12万6000ドルで、第3四分位数(上位4分の1の区切り値)は13万7000ドルだった。IT予算が最も多いグループ(2億5000万ドル以上)だと、平均約28万ドル、上位四分位数の平均が42万4500ドルになった。約28万ドルは、2024年4月末時点では円換算で約4394万円となる。IT予算と給与が高いほど、手当やボーナスの割合が大きくなる傾向も見られた。

表 IT予算ごとのCIOの給与(単位:ドル)
IT予算 第3四分位数 平均額
100万未満 13万7000 12万6841
100万~999万 18万7000 16万1739
1000万~2499万 22万4500 19万3411
2500万~4999万 27万4500 23万5310
5000万~9999万 30万 24万9198
1億~2億4999万 35万 26万3086
2億5000万~ 42万4500 28万1531

 こうした調査結果を見る際は、平均値と四分位数(データを小さい順に並べて4等分した区切り値)の両方を把握することが重要だ。平均額には過小評価された給与も含まれるからだ。第3四分位数は採用向けの報酬額であり、ヘッドハンターは上位四分位数を給与のベンチマークとして使うことがよくある。一方で、ベンチマークだけで給与を決定することはほぼない。


 次回は、CIOの採用で重要になるスキルについて解説する。

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