組織の規模にかかわらず、開発業務に欠かせない存在となりつつある「生成AI」。一方で開発者には、このような状況を歓迎できない理由がある。生成AIが開発にもたらす変化と併せて解説する。
学習データを基にテキストや画像などを自動生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)は、幅広い業界の課題解決や業務効率化に役立つ存在として、世間の期待を集めている。
中でも企業の関心を集めるのが、開発分野における生成AIの活用だ。その実用性や期待される効果から、開発部門にとって生成AIは欠かせない存在になりつつある。ただし生成AIの普及がもたらすのは、開発者のキャリアにとっては好ましいことばかりではない。
IT人材の需要は高止まりしており、企業は人材不足やスキルギャップ(仕事に必要なスキルと、従業員が持つスキルの差)に悩まされている。セキュリティソフトウェア企業CurtailのCEO、フランク・ウエルタ氏は、「開発だけでなく、システムの運用保守やセキュリティの各フェーズにおいて、IT業務をこなせる人材が足りていない」と話す。だが、AIツールを導入して生産性向上を図ることで、これらの課題を解消できる可能性がある。
特に中小企業は、経済的な理由から人員確保やITツール導入が困難な傾向にある。AI技術を活用することで、ITシステムのデリバリー(配備)スピードが向上し、人材不足や予算の制約の関係で従来は手が回らなかったプロジェクトを推進できる可能性がある。
AI技術の進化に伴い、プログラミングスキルの重要性は薄れ、開発分野の参入障壁は低くなると予測される。同時に、開発経験の浅い人材でも戦力となる状況は、開発者の賃金低下といった問題を引き起こす可能性がある。
歴史を振り返ると、特定の産業における自動化がより広範な経済的変化をもたらした事例が幾つか見受けられる。こう話すのは、ソフトウェア開発企業Intelliware Developmentでチーフテクノロジストを務めるB.C.ホームズ氏だ。「AI技術の活用が大きく進む中で、仕事の性質はどのように変わるのか。こうした疑問は簡単には解決できないが、社会全体で検討すべき課題だといえる」とホームズ氏は話す。
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