生成AIで変化する開発【第3回】
人気の「ソースコード自動生成ツール」に共通する“2つの特徴”はこれだ
開発業務における生成AIの活用が進んでいる。開発者が評価するAIツールにはどのような特徴や機能があるのか。AI時代の開発者に求められるスキルと併せて解説する。
学習データを基にテキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の活用が急速に広がっている。生成AIの有効な使い道として期待されているのが、ソースコードの自動生成だ。
既にコーディングを支援する開発向け生成AI(以下、AIツール)は市場に登場しており、人気のツールも幾つかある。有識者によるとそれら人気のツールには主に2つの特徴がある。これから開発者に求められるようになるスキルと併せて、開発者が好むAIツールの特徴を解説する。
開発者に人気な「ソースコード自動生成ツール」の“2つの特徴”とは?
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連載:生成AIで変化する開発
生成AIツールを比較解説
開発者がAIツールの導入で重視する1つ目のポイントが、「最終決定権の所在」だ。
GitHub社のソースコード自動生成ツール「GitHub Copilot」は、AI技術の適用例として業界の先陣を切っている。リポジトリ共有サービス「GitHub」のデータセットや、MicrosoftのIDE(統合開発環境)「Visual Studio Code」へのアクセス性に加えて、「提案を実装するかどうか」の最終的な判断を利用者が下せる点が人気の理由だ。こう説明するのは、開発プラットフォームベンダーAirplaneの共同創設者兼CEOラヴィ・パルク氏だ。
GitHub Copilot以外の人気なAIツールも同様の特徴を持つ。例えばTabnineのソースコード補完ツール「Tabnine」は、ソースコード記述時に適切と考えられるコードの選択肢を提示する。IBM ResearchとRed Hatが2022年10月に立ち上げた生成AIの開発プロジェクト「Project Wisdom」では、コマンドを入力するだけで自動化手順書「Ansible PlayBook」を生成できるが、結果は開発者が確認して変更できる仕様になっている。
AIツールに求められるもう一つの要素が、カスタマイズ性だ。
専門家は、「AIツールにはカスタマイズ機能が不可欠だ」と口をそろえる。AIツールは既存のシステムとの連携が欠かせない。大半の企業は何十年も前から、各社固有の独特なシステムを使用している。
調査会社Forrester Researchでバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるマイク・グアルティエーリ氏によると、開発分野で特に有望なAIシステムは“派生モデル”だと話す。派生モデルは、OpenAIの「GPT-3」やGoogleの「Palm」といった既存のAIモデルを、異なるデータで再学習させたものを指す。
将来的には、自社のソースコードを既存のAIモデルに再学習させる手法が主流になる可能性があるという。「企業が独自にカスタマイズできる派生モデルであれば、既存システムに適したソースコードを生成可能だ」(グアルティエーリ氏)
開発者の仕事は生成AIでどう変わる?
近年、「開発者の職を生成AIが奪うのではないか」という懸念が出ている。セキュリティソフトウェア企業CurtailのCEO、フランク・ウエルタ氏はこれに対し、「すぐに生成AIがソフトウェア開発者に取って代わることはない」とコメントする。生成AIにはリスクや技術的制限がある上、人間特有の能力は生成AIですぐには代替できないからだ。
ウエルタ氏は一例として、自身も携わった、米国防高等研究計画局(DARPA)による自動運転車(Autonomous Vehicle:AV)開発を挙げる。プロジェクトで特に困難を極めたのが、人間の物体認識プロセスの再現だったという。「人間の脳はコンピュータとは異なる方法で物事を捉えるため、そのプロセスを生成を再現することは非常に難しい。生成AIが文章やソースコードを記述するプロセスについても同様だ。この点において人間は有利であり、生成AIに置き換えられるものではない」と同氏は語る。
システム開発には、共感力やコミュニケーション能力も欠かせない。「人の話に傾聴して重要なポイントを理解すると同時に、複雑な背景要因を理解するといった人的スキルが、開発の仕事には必要だ」とソフトウェア開発企業Intelliware Developmentでチーフテクノロジストを務めるB.C.ホームズ氏は話す。
このような背景から、生成AIは開発者の仕事を奪う存在ではなく、あくまで支援する存在になると予測される。「生成AIは、開発者の知識が足りない部分を補うものにすぎない」とパリク氏は語る。
次回は、AIツールの導入が、開発現場や開発者にもたらす影響を考察する。
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