DXは一朝一夕に実現できるものではない。そのための人材の確保も課題の一つだ。多角的な視点でDXを俯瞰して推進できる人材は、どうすれば育成できるのか。そのために活用できるオンライン研修を紹介する。
業界を問わず「DX」(デジタルトランスフォーメーション)が企業における注目のキーワードとなっている。だがその取り組みは簡単なことではない。
DXを進める上での課題は山積みだ。自社のビジネスモデルを強化するためにはどの技術を使えばよいのか。従業員が積極的にイノベーションを起こす企業文化を育むにはどうすればよいのか。本稿は、そのような悩みを抱える人々に役立つオンラインコース10選を紹介する。
カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の「Digital Transformation: Leading People, Data&Technology」は、新規事業の実装や競争力の向上を目指す人、従業員やデータ、技術の取りまとめや選定に関わる中・上級の管理職クラスが想定受講者だ。自社が抱える問題の特定、DXの推進に必要な人材やプロセスの管理、デジタル技術活用に付随する法的な知識や倫理的な側面の理解を学ぶことができる。
DXの推進の鍵となるのがテクノロジーとデータだ。本コースは、従業員と企業の連携に重点を置き、「DXの結果を評価するためのアプローチ」「データの役割」「DXのプロセス」「DXのビジネスモデル」「組織の連携」といった8個の単元から成る。金融機関や医療機関、小売業、運輸といった幅広い業界のDX事例をカバーしている。受講生は受講生同士のディスカッションや課題の提出、小テスト、講師とDXの専門家が提供するウェビナーの受講に取り組む。受講の所要期間は2カ月で、毎週4〜6時間が必要だ。
スタンフォード大学(Stanford University)の「Digital Transformation Program」では、人工知能(AI)技術やデータサイエンスをはじめとした技術、DX戦略の立案やDXを推進するための企業文化の醸成、イノベーションやリーダーシップといった管理職としてのスキルを学ぶことができる。このコースでは、DX推進のためのチームの設計やデータから洞察を得るための予測モデリングなどを習得する。
受講の所要時間は50〜70時間で期間は60日間。いつでも開始可能だ。
コーネル大学(Cornell University)の「Digital Transformation Cornell Certificate Program」が想定する受講者は、企業の経営層や最高技術責任者(CTO)、NPO(非営利団体)の代表者や政治、政策に関与する者、DXに興味を持つ者だ。受講者が「アイデアを素早く生み出すプロセス」を提供する。
コースで学べる内容はデジタル監査の実施、DXのフレームワークを使ったアイデアの創出、デジタルイノベーション実装のためのアクションプラン開発などだ。
受講の所要期間は3カ月で毎週5〜7時間、2週間の単元を7つ修了する必要がある。
ボストン大学(Boston University)の「MicroMasters Program in Digital Transformation Leadership」は、誰でも受講可能な大規模公開オンライン講座(MOOC)配信オンラインサービス「edX」で受けることができる。大学院レベルの内容で、「デジタル世代のリーダーシップ」「DX戦略」「プロダクトマネジメント」「データに基づく意思決定のためのビジネス分析」「プラットフォームビジネス戦略」の5科目で構成されている。受講時間は1週間当たり4〜7時間を要し、期間は9カ月だ。
マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の「Digital Transformation: From AI and IoT to Cloud, Blockchain, and Cybersecurity」は、マサチューセッツ工科大学の社会人向け教育プログラムMIT Professional Educationと、教育技術(EdTech)企業Global Alumniが共同で提供する。想定する受講者は、DXを促進する技術および技術による価値創出方法を学びたい管理職レベルや技術の素養を持つ人、DXに興味を持つ人だ。受講期間は8週間となっている。
後編も引き続き、5つのコースを紹介する。
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