「GitHub」が新規作成リポジトリのデフォルトブランチ名を「master」から「main」に変更した。その背景には、差別的な言葉をなくそうとする世界的な動きがある。
分散型バージョン管理システム(DVCS)の「Git」は誕生以来、ファイルやディレクトリの状態を保存する「リポジトリ」内にある「デフォルトブランチ」の名前を「master」に設定してきた。デフォルトブランチは、リポジトリ内で作業履歴の分岐を可能にする「ブランチ」のうち、リポジトリの作成時から存在するブランチのことだ。
開発者が明示的な操作によって削除しない限り、Gitの全てのリポジトリにmasterブランチがあった。もっとも開発者がmasterブランチを削除することはめったになかった。ほとんどのソフトウェア開発プロジェクトでは、masterブランチは信頼できる情報源(Source of Truth)だ。masterブランチでは基本的に、機能する全てのコードがテストを経て本番環境にプッシュされる準備が整っている。
ところが今では「master」という言葉は、ITの世界の内外で嫌われるようになっている。Gitや、Gitを活用したソースコード共有サービス「GitHub」もこの流れに後れを取らなかった。GitHubは2020年10月から、新規作成リポジトリのデフォルトブランチを「main」という名前にした。GitHubがユーザー向けにmasterブランチをデフォルトで作成することはもうない。
なぜGitHubはデフォルトブランチ名をmasterからmainに変えたのか。この変更は開発者にどのような影響を与えるかを見てみよう。
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