GitHub「デフォルトブランチ名変更」の影響【前編】
GitHubが「master」ブランチを「main」ブランチに変更した深い理由
「GitHub」が新規作成リポジトリのデフォルトブランチ名を「master」から「main」に変更した。その背景には、差別的な言葉をなくそうとする世界的な動きがある。
分散型バージョン管理システム(DVCS)の「Git」は誕生以来、ファイルやディレクトリの状態を保存する「リポジトリ」内にある「デフォルトブランチ」の名前を「master」に設定してきた。デフォルトブランチは、リポジトリ内で作業履歴の分岐を可能にする「ブランチ」のうち、リポジトリの作成時から存在するブランチのことだ。
開発者が明示的な操作によって削除しない限り、Gitの全てのリポジトリにmasterブランチがあった。もっとも開発者がmasterブランチを削除することはめったになかった。ほとんどのソフトウェア開発プロジェクトでは、masterブランチは信頼できる情報源(Source of Truth)だ。masterブランチでは基本的に、機能する全てのコードがテストを経て本番環境にプッシュされる準備が整っている。
ところが今では「master」という言葉は、ITの世界の内外で嫌われるようになっている。Gitや、Gitを活用したソースコード共有サービス「GitHub」もこの流れに後れを取らなかった。GitHubは2020年10月から、新規作成リポジトリのデフォルトブランチを「main」という名前にした。GitHubがユーザー向けにmasterブランチをデフォルトで作成することはもうない。
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なぜGitHubはデフォルトブランチ名をmasterからmainに変えたのか。この変更は開発者にどのような影響を与えるかを見てみよう。
「master」「slave」は人種差別的
コンピュータ業界で「マスター」(master)と「スレーブ」(slave)という用語が使われていることが、2020年夏ごろに注目を集めた。米国で人種差別抗議運動が激化し、社会不安が高まる中、こうした古いニュアンスを残す有害な用語は、不適切だと見なされるようになった。マスター、スレーブには、それぞれ主人、奴隷という意味がある。
オープンソースソフトウェア(OSS)プロジェクトの支援団体Software Freedom Conservancyは2020年6月に、Gitのmasterブランチという名前が「一部の人々にとって侮辱的な言葉であることを認識している」という声明を発表した。この声明でSoftware Freedom Conservancyは「この言葉が使われることで傷つく人々の気持ちを理解する」と言い添えた。
GitHubはSoftware Freedom Conservancyの提案に基づいて対応を取り、デフォルトブランチの名前にmasterという用語を使わないようにした。「われわれはプロジェクトがブランチ名を有意義でインクルーシブ(包摂的)なものに変えるのをサポートし、促進する」とSoftware Freedom Conservancyは説明していた。こうしてGitHubは、新規作成リポジトリのデフォルトブランチ名をmasterからmainに変更した。
実はGitのmasterブランチには、特別なところは何もなかった。デフォルトブランチであるmasterブランチが至る所で使われているため、ユーザーはリポジトリに悪影響を与えることなく、masterブランチを削除したり、プロジェクトから除去したりすることはできないと考えがちだ。だが、これは誤解にすぎない。
masterブランチはこれまで、最初のブランチが作成されたときに使われるデフォルト名だったことを除けば、リポジトリ内の他のブランチと何ら変わらない。開発者は他のブランチと同様に、masterブランチの削除や名前変更、削除後の再作成ができる。
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