「Rust」と「Python」はそれぞれ異なる設計思想を持ち、複数の対照的な仕組みを備える人気のプログラミング言語だ。両者の特徴をさまざまな視点で比較する。
「Rust」と「Python」はどちらも広く人気を集めるプログラミング言語であり、アプリケーション開発の現場でそれぞれ異なる強みを発揮している。両言語にはどのような特徴があるのか。9つの視点のうち、本稿は5つ目から9つ目の視点で比較する。
Rustのライブラリ(プログラム部品群)は拡大しているが、Pythonほど広範ではない。データ処理用の「Serde」「Polars」、Webアプリケーション開発やデータベース連携用の「Actix Web」「Diesel」など、処理性能を重視したライブラリがある。
Pythonは、広範なタスクを処理するための豊富なライブラリを持つ。データ分析用の「NumPy」「pandas」、Webアプリケーション開発用のフレームワーク(特定の機能を持つプログラムの開発を支援するプログラム部品やドキュメントの集合体)「Django」「Flask」などがある。
Rustの特徴は、堅牢(けんろう)な「静的型付け」だ。静的型付けとは、ソースコードに変数の型を明示し、コンパイル(ソースコードを実行可能ファイルに変換する作業)時に整合性をチェックする方式を指す。この方式によって、コンパイル時に潜在的なエラーを検出し、実行時の問題を低減できる。
Pythonは、ソースコードに変数の型を明示せずにプログラム実行中に変数の型を決定する「動的型付け」を採用している。この方式は臨機応変な変数の利用を可能にする一方、Rustであれば事前に発見できるエラーを見落とす可能性がある。
RustのコミュニティーはPythonと比べると小規模なものの、非常に熱心で協力的だ。開発に必要なドキュメントやツールも充実してきている。
Pythonには、充実したドキュメントと学習教材を持つ、大規模なコミュニティーが存在する。
どちらの言語も、クロスプラットフォーム(OS非依存)なアプリケーションを開発可能だ。特にPythonはインタープリタ言語であり、ソースコードをOSに依存しないバイトコード(中間コード)に変換してから、OSごとの実行環境を通じてプログラムを実行する。
Rustのコンパイラ(コンパイルを実行するソフトウェア)は、エラーが発生する可能性のある処理に対して、明示的なエラー処理を強制する。この仕組みによって、アプリケーションがエラーに対して堅牢になる。Pythonではランタイム処理は必須ではないだが、そうしたプログラムは予期しないエラーを引き起こす可能性がある。
次回は、RustとPythonがそれぞれ適している用途を紹介する。
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...