人気のプログラミング言語「Rust」と「Python」は、それぞれ異なる特徴や得意分野を持つ。両者を比較するに当たり、まずはRustの歴史や強み、機構といった概要を紹介する。
「Rust」と「Python」は、異なる得意分野を持つ人気のプログラミング言語だ。自社の開発プロジェクトに向いているのはどちらのプログラミング言語なのかを見極めるには、両者の特性を理解する必要がある。まずはRustについて、なぜ「C」および「C++」に代わるプログラミング言語として期待されているのかを押さえておこう。
Rustは2006年、非営利組織Mozillaのグレードン・ホア氏が個人プロジェクトとして開発を始めた。CおよびC++に代わる、より安全なプログラミング言語の創出を目指している。2015年にはMozillaの支援の下で「Rust 1.0」が公開され、安全性や並行性、処理性能を重視するプログラミング言語として認知を得た。
2024年5月、米政府のセキュリティ政策機関ONCD(Office of the National Cyber Director)が公開したレポート「2024 Report on the Cybersecurity Posture of the United States」は、メモリの安全性を確保できるプログラミング言語を推奨し、Rustが注目を集めた。同年7月には、米国防高等研究計画局(DARPA)が、Cで書かれたソースコードをRustに自動変換する技術の実現を目指すプロジェクト「Translating All C to Rust」(TRACTOR)を発表した。
Rustの特徴である「所有権」は、ガベージコレクション(不要なデータを削除して空き容量を増やす機構)を使用せずに、メモリの安全性を確保する仕組みだ。「Fearless Concurrency」(恐れない並行)という設計思想によって、開発者が安全かつ効率的に並行処理を実装できる。ソースコードに変数の型を明示し、コンパイル(ソースコードを実行可能ファイルに変換する作業)時に整合性をチェックする「静的型付け」を採用しており、コンパイル時にエラーを検出して防止できる点も特徴だ。
コンピュータの基本的な機能や、ハードウェアを直接制御するプログラムを作成する「システムプログラミング」に不慣れな開発者にとって、Rustの習得は容易ではない。所有権や、所有権を持つデータへのアクセス権限を一時的に他のプログラムに与える「借用」、参照(データの場所を示す情報)が有効である期間「ライフタイム」といった概念の習得には、時間を要する可能性がある。
次回はなぜPythonが人気を集めているのかを解説する。
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。
DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。
DX人材の重要性が高まる中、ノーコードツールの活用によって業務改革と人材育成を両立しようとする動きが活発化している。年間約780時間の工数削減を実現した京セラをはじめとする5社の事例を基に、その実態を探る。
急速に進化するデジタル技術は、製造業などのものづくりの現場にもさまざまな恩恵をもたらしている。しかし、設備点検業務や棚卸業務などの立ち仕事や移動が多い現場では、いまだにアナログ業務が残存し、効率化の妨げとなっているという。
あらゆる業界でDXの重要性が増しているが、工場や倉庫の中にはデジタル化が後回しにされている隙間業務が多数ある。その理由を明らかにした上で、それらの業務をモバイルアプリでデジタル化し、現場DXを推進する9社の事例を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。