Microsoft Azureが鍵に
MicrosoftのGitHub買収は吉と出るか凶と出るか
Microsoftは2018年に世界最大のオープンソースコードリポジトリGitHubを買収した。この出来事は、MicrosoftとGitHubにどのような影響を及ぼすのか。
Microsoftによるソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」の買収は、同社がオープンソースコミュニティーを完全に取り込んだことを表している。しかし、この買収がMicrosoftの収益に与える影響が明らかになるには時間がかかるだろう。
GitHubの買収を有益な投資に変えるには、Microsoftはこのオープンソースコミュニティーに働き掛け、同社の中核となるプラットフォーム(具体的には「Microsoft Azure」)を積極的に採用するよう説得しなければならない。MicrosoftがGitHubを買収する決断を下した背景には、長期にわたるプロセスになるとしても、Azureを新しい市場に拡大するという目標があるとアナリストは言う。
米ニューハンプシャー州ハンプトンを拠点とするTechnology Business Researchでシニアアナリストを務めるケルシー・メイソン氏は次のように語る。「MicrosoftはAzureに顧客を取り込めば、そこから利益を拡大できると考えている。今回の買収によって開発者がMicrosoftをオープンソースの『中枢』と考えるようになるのが理想だ」
しかし、そのためには絶妙のバランスが必要だ。
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MicrosoftがAzureや膨大なポートフォリオの中にある自社製品をオープンソース開発者に強く勧めすぎたり、Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services(AWS)」やGoogleの「Google Cloud Platform」などの競合クラウドプラットフォームでの作業を難しくしたりすると、多くの開発者が競合するコードリポジトリに流れてしまう可能性がある。また、Microsoftが市場における独占的地位を違法に利用していると、開発者が司法省に訴える恐れもある。
「GitHubの買収は、Microsoftによる賢い買収の1つとなるか、Nokiaの件と並んで新たな失敗例になるかどちらかだ」(メイソン氏)
アナリストたちは、Microsoftは過去の失敗から学んで変わっていると考えている。彼らは、多くの大規模企業の顧客がWindowsベースの製品を使用した自社固有のオープンソースアプリケーションを構築することを考えており、大きな収益を得るチャンスだと指摘する。そのため、Microsoftは行動を開始した方が良い。
コンサルティング企業Hurwitz & Associatesでプリンシパルアナリストを務めるジーン・ボズマン氏は次のように語る。「新しい時代に入っており、Microsoftはそれに気付いている。同社は想像以上に、オープンソースコミュニティーやLinuxコミュニティーと緊密に連携している。しかし、オープンソースコミュニティーの心をつかむために同社がすべきことはまだ残っている」
MicrosoftはWindowsからオープンソースへと、急速にあらゆるクラウドに重点を移していることから、GitHub買収のタイミングはMicrosoftの技術戦略の進化と一致するという意見もある。
Technology Business Researchでシニア戦略コンサルタント兼プリンシパルアナリストを務めるジェフ・ウーラコット氏は次のように語る。「MicrosoftがGoogleの『Android』のような無料OSと競合し始めたころから、Windowsのオープンソースへの歩み寄りが始まった。複数のオープンテクノロジースタックを縦断するアプリケーション層の移植性に目を向けると、GitHubの買収は理にかなっている」
買収を発表する記事の中で、MicrosoftのCEOサトヤ・ナデラ氏はGitHubを引き続きオープンプラットフォームとして維持し、全ての開発者が使い慣れたプログラミングツールとOSを利用して、どのクラウドにもどのデバイスにもコードを配置できるようにすることを表明している。また、Microsoftの営業チームやリセラーを介してGitHubを利用することを企業の開発者に推奨すると補足した。
オープンソース企業の買収からオープンソースコミュニティー、特にGitHubへのソフトウェア面での貢献の増加というMicrosoftの近年の活動は、同社がこれらの取り決めに従って運用することを示している。
Microsoftは、GitHubをどのように収益につなげるかを示しておらず、ユーザーやアナリストの中では同社が75億ドルの投資をどのように回収するかについて臆測が飛び交っている。見返りは金銭的なものではないのかもしれない。今後成果が出るとしても、現段階で測定が難しい。
Microsoftに近い情報筋は次のように語る。「今回の買収は決して純粋な金銭目的ではないだろう。75億ドルの投資の利益は、金銭ではなく実体のないメリットとして返ってくるかもしれない。これはとても大きな、だが計算された賭けだ」
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