「脱クラウド」が比較的容易なワークロードと、難しいワークロードがある。その違いとは何か。脱クラウドしやすいワークロードを構築することはなぜ必要なのか。
ワークロード(アプリケーション)のクラウドサービスへの移行後に、そのワークロードをオンプレミスのインフラに戻す「脱クラウド」を検討する企業がある。ただし脱クラウドは必ずしも簡単ではない。本稿は、脱クラウドに備えるポイントを説明する。
クラウドベンダーとユーザー企業が同じ製品群を利用してインフラを構築していれば、オンプレミスのインフラへのワークロード回帰は比較的容易になる。ネットワーク運用管理の自動化を手掛ける6connectの最高執行責任者(COO)で共同創設者のピート・スクラファニ氏は、VMware製品をAmazon Web Services(AWS)のインフラで稼働させることができる「VMware Cloud on AWS」を利用しながら、オンプレミスのインフラでVMware製品を運用する企業を例に挙げる。このように同一の製品を使っている場合、クラウドサービスからオンプレミスのインフラにワークロードを移行させるのは比較的簡単だ。
それに対して、クラウドベンダーが利用する独自サービスに完全に移行した企業では、脱クラウドがはるかに大きな課題となる。オンプレミスのインフラにワークロードを戻して良い結果を得るのが不可能だと分かる場合もある。
「Kubernetes」や「Docker」といったコンテナ技術は脱クラウドを容易にする可能性がある。コンテナは仮想マシン(VM)と比べ、ワークロードとインフラの依存関係が小さい。そのためクラウドサービスとオンプレミスのインフラの両方でコンテナを利用しているユーザー企業は、脱クラウドの検討の余地がある。
クラウドサービスで稼働するワークロードが適切に設計されているなら、そうしたワークロードをオンプレミスのインフラに戻す必要はない。ただしその必要性が生じた場合に備えて、脱クラウドを実行する方法を把握しておく必要がある。
脱クラウドは、必ずしもユーザー企業の過失やミスによって必要になるわけではない。「クラウドサービスが変化を続ける中で、それに伴う予想外の影響を考慮するためにある」とスクラファニ氏は述べる。例えばクラウドベンダーが、クラウドサービスの利用料金を値上げすることがある。その場合、ワークロードの設計によってはコストが予算を大きく超えて急上昇する可能性がある。「コスト最適化の点でも、クラウドサービスとオンプレミスのインフラの間で移行しやすいようにワークロードを設計する利点は大きい」(同氏)
クラウドベンダーが自社の利益を追求する組織であることも忘れてはならない。ユーザー企業は、利用するクラウドサービスを再検討しやすい状態にしておく必要がある。
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