企業はなぜ「脱クラウド」したくなるのか Gartnerに聞く「脱クラウド」検討のポイント【前編】

クラウドサービスで稼働させているワークロードをオンプレミスのインフラに移行させる「脱クラウド」を検討する企業がある。こうした動きはなぜ起こっているのか。脱クラウドの現状を説明する。

2021年02月08日 05時00分 公開
[Stephen J. BigelowTechTarget]

 サーバやCPU、ストレージなどのコンピューティングリソースを使用したい分だけ利用料金を支払って調達する「ユーティリティーコンピューティング」の考え方は、インターネットの登場以来ずっと存在する。クラウドサービスが登場したことで、ユーティリティーコンピューティングがより身近な存在となった。今やあらゆる規模の企業が、クラウドベンダーの世界規模の巨大インフラを活用して、それまでのデータセンターにまつわる設備投資を最小限に抑えている。

 ただしクラウドサービスは完璧ではない。

脱クラウドがしたくなる“あの理由”

 ユーティリティーコンピューティングの導入を成功させることは簡単ではないし、自社の全てのワークロード(アプリケーション)をクラウドサービスに移行できるわけでもない。クラウドサービスへのワークロードの移行が期待外れに終わった場合、オンプレミスのインフラにワークロードを戻す「脱クラウド」という面倒な作業が発生する恐れがある。

 「ワークロードやプロジェクトが望ましい結果を得られていないなら、インフラを変えるのは意味がある」。調査会社Gartnerでディスティングイッシュトバイスプレジデントアナリストを務めるデイビッド・ミッチェル・スミス氏はこう語る。

 脱クラウドはIT戦略全体の問題ではなく、ワークロードごとの判断が必要になる点に注意が必要だとスミス氏は注意を促す。「あるワークロードにとっては脱クラウドが現実的だとしても、そうではないワークロードもある」(同氏)

 スミス氏によると、企業がクラウドサービスからオンプレミスのインフラにワークロードを戻す一般的な理由は、ベンダーへの不満だ。開発用やテスト用など永続的に保持する必要がないワークロードのために、クラウドサービスのリソースを大量に利用することもユーザー企業が望まないことだという。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。