Boseのサプライチェーン強化【後編】
音響大手Boseがサプライチェーンの混乱時に実践する「危機管理プロセス」とは
音響メーカーBoseは、サプライチェーンの回復力強化のためのシステムを導入し、混乱に素早く対処できるよう備えている。同社は危機の重要度と影響度を3つのレベルに分けている。それはどのようなものか。
前編「音響大手Boseが『サプライチェーン強化』を決意した理由 東日本大震災が契機」、中編「音響大手Boseに聞く、サプライチェーンの混乱をいち早く察知する4つの要素とは」の通り、大手オーディオ機器メーカーBoseはサプライチェーンの強化に取り組んでいる。同社は2013年にResilincのサプライチェーン管理(SCM)システムを導入し、サプライチェーンの混乱を察知して対処するための施策を構築した。
この施策は、サプライチェーンに問題が生じた際に状況をいち早く察知する「サイトマッピング」「財務分析」「社会的責任」「事業継続計画」という4要素(中編で紹介)と、問題に迅速に対処する「危機管理」を重視している。この危機管理は、3つのレベルに分かれている。
危機の重要度と影響度を分類する3つのレベル
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パンデミックが招いたサプライチェーンの混乱
企業ITのBCP
危機管理のレベル1では、Boseはサプライチェーンの混乱を認識すると共に、SCMシステムのアラートから分かるサプライヤーへの潜在的な影響に注目する。潜在的な影響がなければイベントをクローズ(解決済み)の状態にする。だが大事に至る恐れがあれば危機管理プロセスをレベル2に引き上げる。
レベル2では、サプライチェーンの混乱がもたらす影響と重大度を製品マネジャーが確認する。マネジャーは、安全在庫の使用、航空貨物への移行、セカンドソース(他社が供給している同じ仕様の製品)の使用といったアクションによって混乱を軽減できるかどうかを分析する。
サプライチェーンの混乱が顧客への配送に影響するようであれば、Boseは危機管理プロセスをレベル3に上げる。レベル3になると、サプライチェーン強化施策に基づいて「作戦司令室ゾーン」を稼働させる。このゾーンを形成するのは、物流、サプライチェーンの需要と計画、流通といった主要機能分野や、事業部門のメンバーから成る職務横断的なチームだ。危機管理の作戦司令室チームは、混乱の詳細、起こすべき行動、軽減のための戦略を調査する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)では、Boseは2020年1月29日にサプライチェーン作戦司令室を立ち上げ「毎日チェックインミーティングを開催した」とドウィネルズ氏は振り返る。ミーティングの頻度は状況の変化と安定化に従って変化し、現在は1週間に1度になっているという。同氏によると、作戦司令室は毎週金曜日に社内通知を全経営陣に送信し、プログラムの状況の概要を提示する。
察知と対処
サプライチェーンの回復力を高める施策は継続中で、Boseはまだまだ教訓を得ている最中だ。サプライチェーンの混乱の可能性を察知して対処する能力も向上し続けている。
「当社のサプライチェーンのリスクと混乱については、察知と対処の両方の能力にコストを掛けることが必要だと感じている。言い換えれば、混乱の前と後に、解決のためのプロセスとシステムを用意する必要があるということだ」
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