パンデミックが招くサプライチェーンへの影響【後編】
新型コロナでサプライチェーンが混乱、影響を最小限に抑える方法とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとして発生したサプライチェーンの混乱。それに対処するために企業ができることとは何か。
前編「コロナ禍の“トイレットペーパーパニック”を『ブルウィップ効果』で説明する」は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がる中で発生したトイレットペーパーなど日用品の買いだめの現象と、需要の変動がサプライチェーンの上流に上るにつれて増幅される「ブルウィップ効果」との関係性を説明した。後編は、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンへの影響を受けて、企業が取るべき対策を示す。
ERPシステムの調整
当面、サプライチェーン管理者が実施する必要があるのは、危機的状況がもたらす変化に対してどのような計画を立てればよいかを考えることだ。そのためには、さまざまなシステムやアルゴリズムを利用する必要がある。その利用範囲は複数のERP(統合業務)システムやサプライチェーンのアプリケーションに広がる可能性がある。グルダー氏は「システムやアルゴリズムの調整は、担当者の専門技術知識の範囲を超える可能性がある」と指摘する。
新型コロナウイルス感染症の事態が終息するまで、サプライチェーン管理者は発注を手作業で調整し、「Microsoft Excel」のような昔ながらのツールを使って計画を見守る方法を見つける必要がある。既存のサプライチェーンの発注や補充のアルゴリズムに手を加え、手作業で発注することから生じる新しい課題にも目を向けなければならない。
新型コロナが招いたサプライチェーンの混乱に対処する方法
サプライチェーンの混乱は、買いだめから起きるブルウィップ効果の形となって現れる。この現象に対処するにはどうすべきか。製造とサプライチェーンのコンサルティング企業Patina Solutionsで業務担当のプラクティスディレクターを務めるダレン・サミュエル氏は「費用を最小限に抑えながら、優先度の高い発注に応じる方法を見つけることが重要だ」と語る。
そのためには、配送中の在庫、保守部品の在庫、工場在庫の余裕を見つけて使用し、各在庫の優先順位を見直す必要がある。「危機を乗り切るため、経営陣は新たな現実を受け入れるための構造改革を実行し、積極的にリスクを管理するための新たなプロセスを開発している」(サミュエル氏)
サミュエル氏によると、多くの企業は、スタッフを追加し、主要商品の製造と流通に必要な人材を補充するために、協力を得られるサードパーティーを見極めている。新しいスタッフが入るたびに、定期監査を実施して安全とコンプライアンスを確保することも重要だ。
事態は急変している。そのため、消費者の買いだめが売り上げの不測の上昇を引き起こしたり、供給過多によって売り上げが急速に落ち込んだりする可能性がある。企業がこれに適応するのは困難だろう。買いだめのブルウィップ効果を最小限に抑えるには、サプライチェーンのパートナーシップが鍵になる。「買いだめに対処する最も重要なステップは、サプライヤー、ベンダー、消費者の間の協力とコミュニケーションの質を向上させることだ」とサミュエル氏は語る。
他の専門家も同意する。「近所のスーパーマーケットから、サプライチェーン全体に至るまでのコミュニケーションが重要になるだろう」。こう話すのは、法律事務所Baker Donelsonの弁護士で、ナッシュビル事務所のCOVID-19対策本部リーダーを務めるジョン・スカナピエコ氏だ。サプライチェーンのどこかに関わるパートナー企業同士がコミュニケーションを密接かつ頻繁に取り、現在の買いだめ状況に対処する必要がある。「その状態を最終的には新たな日常に変えるためだ」とスカナピエコ氏は話す。
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