自動化によって仕事を奪うのではなく、守りたい――。多数の視覚障害者を雇用するIBVIの「Oracle ERP Cloud」導入事例から、同社が重視したビジネスプロセス改善のポイントに迫る。
本稿で取り上げるのは、一般的なERP(統合業務)システムのアップグレードとは違う話だ。Industries for the Blind and Visually Impaired(IBVI)は最新のERPシステムを必要としていた。IBVIにはユニークな要件があった。同社は効率を高めたいとは考えているが、従業員から仕事を奪うやり方は望んでいなかった。
IBVIは米国ウィスコンシン州を拠点とする製造企業で、多様な製品を製造している。中でも特に有名な製品が「SKILCRAFT」ブランドのボールペンだ。同製品は米国政府向けに製造されている。このボールペンには極端な温度に耐えられる部品が用いられ、毎年数百万本単位で製造されている。
同社の使命の一つは社名が示す通り、視覚障害者の雇用だ。同社にとっての成功の尺度は、より多くの人を雇うことにある。同社のテクノロジーは、オフィスでも作業現場でも従業員の仕事を支援する。
IBVIは、簡単に相互連携できない複数のシステムから成る同社のERPシステムに不便を感じていた。処理は時間がかかり、非効率だった。例えば従業員の住所を変更するだけで、4つの異なるシステムにログインする必要があった。
ERPシステムのアップグレードが必要だったIBVIは、システムインテグレーター(SIer)に相談した。
IBVIのERP刷新プロジェクトに関心を持ったSIer数社が、IBVIの工場ツアーに招待された。ツアーの案内役は、IBVIの最高イノベーション責任者(CIO)を務めるエマニュエル・ボヴァキス氏だ。
ツアーに参加したSIer各社に対して、ボヴァキス氏はプロジェクトの目標を次のように語った。「この現場を見てほしい。そして、ここにいる従業員の立場には影響させないでほしい。今回のERPシステムの目的は、従業員が仕事をしやすくすることであり、会社の効率を求めることではない」
ボヴァキス氏は次のように続けた。「非営利法人の役割は、より多くの人々の仕事を確保することだ。会社の効率を上げることではない。仕事を自動化するのではなく、視覚障害者向けにもっと多くの仕事を生み出すことが目的だ」
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