コロナ禍の“トイレットペーパーパニック”を「ブルウィップ効果」で説明するパンデミックが招くサプライチェーンへの影響【前編】

新型コロナウイルス感染症の拡大によって世界各地で買いだめの問題が生じている。その結果、一部の商品の流通に「ブルウィップ効果」が生じる可能性があるという。どういうことなのか。

2020年05月15日 05時00分 公開
[George LawtonTechTarget]

 専門家は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が広範囲に引き起こす「ブルウィップ効果」に企業が備える必要性を警告している。ブルウィップ効果とは、需要の変動がサプライチェーンの上流に上るにつれて増幅されることだ。

 パンデミック(感染症の世界的な流行)への対処に必要となるさまざまな商品だけでなく、トイレットペーパーのようにパンデミックとは明白な関係がない日用品でさえ売り上げが大幅に伸び、サプライチェーンを大混乱に陥れている。世界中の店の商品棚が空になり、中には買いだめに走る客のパニックをなだめるために配給制を導入する店舗もある。

 消費者の買いだめ行動は、短期的には売り上げ増加に直結する可能性がある。だがメーカーからサプライヤーに至るサプライチェーンでは、トイレットペーパー、消毒液、漂白剤といった生活必需品の原材料を過剰生産してしまうという現実的な問題を生み出す恐れがある。

写真1 写真1 トイレットペーパーの商品棚が空になった英国の大手スーパーマーケットチェーンTesco《クリックで拡大》

“トイレットペーパーパニック”から見える「ブルウィップ効果」

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