クラウドサービスからオンプレミスのインフラにシステムを戻す「脱クラウド」に踏み切る企業は、クラウドサービスでのシステム運用に何らかの問題を抱えている。どのような問題が脱クラウドにつながるのか。
オンプレミスのインフラからクラウドサービスへのシステム移行(以下、クラウド移行)の動きが進む中で、クラウドサービスの課題も浮き彫りになりつつある。こうした課題が、いったんクラウド移行させたシステムをオンプレミスのインフラへと回帰させる「脱クラウド」へとつながる。特に重要な業務システムを脱クラウドの対象にする動きがある。
脱クラウドに乗り出すに当たって、まずはクラウドサービスの何が問題なのかを見極める必要がある。
クラウドサービスの費用対効果を十分に得るには、オンプレミスのインフラで稼働させてきたレガシーシステムを単にクラウド移行させるのではなく、レガシーシステムの設計から見直す必要がある。その点をよく理解しないまま、レガシーシステムをそのままクラウド移行させる「リフト」に着手している企業がある。クラウドサービスでは利用開始時には想定していなかった有償オプションを途中から利用開始し、それらのコストが積み重なって想定以上のコストになることもあると、コンサルティング会社Protivitiのランディ・アームキネクト氏は指摘する。
コンサルティング会社Enterprise Strategy Group(ESG)のスコット・シンクレア氏は、システムの脱クラウドを決断したIT部門の多くが、システム設計の見直しも変更もせずにクラウド移行に踏み切った経験があると説明する。さらにIT部門ではなく事業部門がクラウド移行を決定したケースも少なくないことが、クラウド移行のミスを引き起こす要因になっているという。
クラウドサービスの運用に必要なスキルはオンプレミスのインフラとは異なる。運用チームが十分なトレーニングを受けず、この違いに対処できない可能性がある。スキルのギャップを埋めようと「クラウドエンジニア」や「クラウドアーキテクト」と呼ばれる人材を確保しようとしても、IT市場全体で人材不足の状況では、新たに人材を獲得したり、雇用を維持したりすることは簡単ではない。
企業はクラウドサービスで稼働させている全てのシステムを脱クラウドの対象にするのではなく、移行対象のシステムを個別に選択している。コンサルティング会社Amalgam InsightsのCEO(最高経営責任者)を務めるヒョン・パク氏は「企業はパフォーマンス、稼働時間、メンテナンス、セキュリティなどに特別な要件があるシステムや、特別なカスタマイズを要するシステムを脱クラウドの対象にする傾向がある」と説明する。
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