新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務などのテレワークが広がる中、脚光を浴びる製品分野が「SASE」だ。SASEへの関心が高まる背景と、導入の際に注意すべき点を紹介する。
調査会社Gartnerでバイスプレジデントを務め、著名なアナリストでもあるニール・マクドナルド氏は、セキュリティとネットワークに関する複数の製品・サービスの機能を集約した製品分野「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)の名付け親として知られる。マクドナルド氏によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行したことでSASEへの関心が急激に高まっており、2022年まで導入が急増するという。
調査会社Nemertes Researchは、クラウドサービスやセキュリティに関する調査レポート「Nemertes 2019-2020 Cloud and Cybersecurity Research Study: Cybersecurity」において、2020年末までにSASEの導入を実施または予定する組織が62%に上ると予想している。なお同社は厳密にはSASEではなく、同様の製品分野を「SCAPE」(セキュアクラウドアクセス・ポリシー強制)という名称で定義している。
新型コロナウイルス感染症が流行して以降、「当社の顧客は『SASEを導入する意向がある』と口をそろえる」と、Nemertes ResearchのCEOヨハンナ・ティル・ジョンソン氏は語る。データがやりとりされる経路がオフィスとデータセンターの間という「内部から内部」から、在宅勤務などのテレワークを実施する場所とクラウドサービスの間という「外部から外部」にシフトしていることが、SASE導入の原動力になっているという。
SASEに企業の関心が集まる要因として、マクドナルド氏は以下を挙げる。
マクドナルド氏は、SASEを検討中の企業に対して、移行を容易にするため「セキュリティ製品・サービス契約の期限切れ」をうまく利用することを勧める。例えば「セキュアWebゲートウェイ」や「CASB」(クラウドアクセスセキュリティブローカー)、「SD-WAN」といったSASEの構成要素である各種製品の導入や更新のプロジェクトが動いていたり、ネットワークアーキテクチャの再設計を検討していたりする場合だ。「そうしたタイミングにあるならば、セキュリティとネットワークのアーキテクチャを同時に再設計してはどうだろうか」と同氏は提案する。
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