「パッチ未適用」が招くリスク
SAPやSamsung製品も安全ではない? 増え続ける脆弱性の実態と緊急度
攻撃者による脆弱性の悪用は後を絶たない。2025年前半に明らかになった脆弱性にはどのようなものがあるのか。SAPやSamsung Electronicsといった大手ベンダーの製品に関する脆弱性を含む3件を紹介する。
パッチ(修正プログラム)の未適用や未公開によって生じる脆弱(ぜいじゃく)性は企業にとって脅威だ。一方で米国立標準技術研究所(NIST)によると、同機関が管理する脆弱性管理データベース「NVD」(National Vulnerability Database)への脆弱性識別子「CVE」(Common Vulnerabilities and Exposures)登録件数は増加の一途をたどっている。本稿は、2025年4~5月に報告されたCVEに関する情報を3件紹介する。
脆弱性1.SAP基幹システムを脅かす「CVE-2025-31324」
併せて読みたいお薦め記事
セキュリティ担当者が今知っておきたい脆弱性関連情報
脆弱性の概要
2025年4月、セキュリティベンダーReliaQuestは、「SAP NetWeaver Visual Composer」の脆弱性「CVE-2025-31324」の悪用を発見した。SAP NetWeaver Visual Composerは、SAPの業務システム運用基盤「SAP NetWeaver」で稼働するアプリケーション開発ツールであり、そのデータアップロード機能「Metadata Uploader」に脆弱性が存在した。攻撃者はCVE-2025-31324を悪用することによって、Metadata Uploaderの認証機能を不正利用し、悪意のある実行可能ファイルをアップロードできたという。SAPは同月、緊急パッチを公開した。
CVSSスコア
共通脆弱性評価システム「CVSS」において、CVE-2025-31324の深刻度を示すスコアは2つ存在する。1つ目はNISTが算出したもので10点満点中9.8、2つ目はCVEを付与する権限を持つSAPが算出したもので10点満点中10.0だ。
脆弱性2.Samsung製サイネージの重大欠陥「CVE-2025-4632」
脆弱性の概要
米国のサイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は2025年5月、デバイスベンダーSamsung Electronicsが提供する広告、案内、情報表示用のデジタルサイネージ管理製品「MagicINFO 9 Server」の脆弱性CVE-2025-4632を公表した。攻撃者はCVE-2025-4632を悪用することによって、管理者権限で任意のファイルを作成したり、既存ファイルに書き込んだりすることが可能だ。
脆弱性を発見した研究者と企業を仲介する組織SSD Secure Disclosureは2025年1月、CVE-2025-4632を発見してSamsung Electronicsに報告。同年4月、概念実証(PoC)コードを公開した。PoCコードは、脆弱性の悪用が可能であることを証明するプログラムだ。セキュリティベンダーArctic Wolf NetworksとHuntress Labsは、PoCコードの公開直後である同年5月から攻撃を観測していたことを明らかにした。セキュリティ関連のニュースを扱うメディアThe Hacker Newsも同月、CVE-2025-4632がマルウェア「Mirai」の展開に悪用されていると報道。Samsung Electronicsは同月、修正プログラムを公開した。
CVSSスコア
Samsung Electronicsが算出したCVE-2025-4632のCVSSスコアは、10点満点中9.8だ。同社はCVEを付与する権限を持つ。
脆弱性3.業務用チャットの盗み見を許す「CVE-2025-27920」
脆弱性の概要
2025年5月、MicrosoftはインドのITベンダーSrimax Software Systemが提供するメッセージングアプリケーション「Output Messenger」の脆弱性「CVE-2025-27920」に関する情報を公表した。Microsoftによると、2024年4月以降、イラクのクルド系軍事勢力を標的にしたスパイ活動を進める際、トルコの攻撃者集団「Sea Turtle」がCVE-2025-27920を悪用していた。
Sea Turtleは、WebサイトのDNS(ドメインネームシステム)の設定を乗っ取る「DNSハイジャック」や、URLの入力ミスを利用して有害なWebサイトに誘導する手口「タイポスクワッティング」を使って、エンドユーザーの認証情報を盗み取っていた。その上で、本来エンドユーザーがアクセスすることを想定していないファイルやフォルダに不正アクセスする手口「ディレクトリトラバーサル」の脆弱性を突いて、通信を傍受するためのバックドアを設置していた。バックドアは、不正アクセスのための入り口だ。
Srimax Software Systemは2024年12月、CVE-2025-27920を修正したと発表した。一方でMicrosoftは2025年5月、「未修正のシステムがいまだに攻撃され続けている」と指摘するブログエントリ(投稿)を投稿した。
CVSSスコア
2025年5月時点で、NISTはCVE-2025-27920のCVSSスコアを公表していない。CVEプログラムを推進する米国の非営利組織MITREが算出したCVSSスコアは10点満点中7.2だ。
TechTarget.AIとは
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget.AI
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー