新型コロナウイルスの感染対策として在宅勤務が広がる中、在宅勤務用のネットワークをいかに安全にするかが重要になっている。だが現状はセキュリティが十分に確保されているとはいえないようだ。
セキュリティベンダーBitSight Technologies(以下、BitSight)が2020年3月に実施した調査で、企業の従業員が在宅勤務に使用するネットワークにマルウェアが存在する割合は、企業内のLANやWANといった企業内ネットワークと比べてはるかに高いことが分かった。同社はこの結果をまとめ、同社が同年4月にレポート「Identifying Unique Risks of Work from Home Remote Office Networks」(リモートオフィスネットワークを利用した在宅勤務固有のリスクの特定)として発表した。それによると、従業員が在宅勤務に使用するネットワークにマルウェアが見つかった企業の割合は全体の45.0%であるのに対し、企業内ネットワークにマルウェアが見つかった企業の割合は13.3%にとどまるという。
BitSightは4万1000社以上の企業の在宅勤務用ネットワークを調査した。同社の研究者はこの調査のために、各企業の従業員が利用する在宅勤務用ネットワークのIPアドレスを、その企業と対応付けた資産マップを作成した。「これはユニークな調査だ。われわれが一歩踏み込んでこうしたネットワークを取り上げ、それらのセキュリティ状況を比較して分析したのは今回が初めてだ」。レポートを作成したBitSightの研究者ダン・ダールバーグ氏はそう説明する。
調査では、在宅勤務用ネットワークにマルウェアが存在する割合は、企業内ネットワークの3.5倍であることが明らかになった。レポートによると、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の感染手段として使われるマルウェア「TrickBot」が存在する割合は、少なくとも3.75倍であるという。加えてマルウェア「Mirai」が形成したbotネット(マルウェアに感染したデバイスが形成するネットワーク)が家庭用ネットワークで観察された頻度は、少なくとも20倍高かった。
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