事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策【第16回】
「野放しのテレワーク」はNG 自然にセキュリティ意識が上がるルール作りのコツ(1/2 ページ)
初めてテレワーク制度に取り組む企業が、セキュリティポリシーを整備する際には、取りあえずPCの利用履歴を取得することから始めてみましょう。利用実態を把握できれば、自社に最適なルールが自然と導かれます。
「テレワーク導入企業が直面するセキュリティ問題にどう取り組むか?」では、テレワーク制度の活用を検討している企業が直面するセキュリティ問題と、技術的な対策についてまとめました。テレワークはインターネットやITシステムを利用することを前提とした取り組みになるため、技術的な(システム上での)情報セキュリティ強化が必須となります。
加えて「仕組みやルールに関する取り組み」と「人に対する取り組み」を同時並行的に実施する必要があります。本稿では、この2点についてセキュリティの観点も踏まえて解説します。
ご存じの通り、テレワークは一般的な労働基準関連法令(労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法など)が適用されます。離れた場所で業務をしているからといっても野放しにはできず、上記法令に照らし合わせた運用やルール作り、仕組み作りが必要になります。
その上で、テレワーク制度を導入する企業が絶対に押さえておくべきポイントは「テレワーク利用者の労働時間を適切に管理・把握すること」です。
テレワーク利用者の労働時間管理
テレワーク利用者には、自宅やリモートオフィスなど、管理者の目が行き届かない場所で業務を実施してもらうことになります。そのため、
- きちんと業務を遂行しているか
- 休憩時間を適切に取得しているか
- 仕事をしている時間と仕事以外の時間(私用、プライベートな事柄などに使う時間)の切り分けをどうするか
などを事前に取り決めておく必要があります。
とはいえ、今までテレワークに取り組んだ実績がなく、どのようにルールや人員を整備すればいいのか分からない中堅・中小企業も少なくないでしょう。未経験で何をどのように進めていいのか分からない場合にお勧めなのが、「取りあえずPCの利用履歴を取得する」ことです。
PCを貸与することを必須条件として、以下のような利用履歴が残るソフトウェアを導入し、まずは1~2週間程度利用実態を確認してみましょう。
確認すべき利用履歴
- PCを起動した時間やシャットダウンした時間
- ログイン時間、ログアウト時間
- PCの使用時間(実際に操作していた時間)や未使用時間(操作していない時間)
- 「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」などのオフィスソフト利用/Webサイト閲覧の時間と内容
- メールやメッセージングツール、リモートミーティング利用時間
これらの情報を取集した上で、業務内容をヒアリングします。こうすれば、実態に即した運用ルールを作りやすくなるでしょう。以下に、利用履歴の収集とヒアリング方法の例を示します。
PCを起動した時間やシャットダウンした時間
業務開始時はシャットダウンしているPCを起動し、業務終了後は必ずシャットダウンすることを徹底してもらいます。これらの時間をタイムカード代わりに把握し、業務開始・終了の証拠とします。
ログイン時間、ログアウト時間
PCを起動したけれど、何かしらの事情でログインできないこともあるかもしれません。PC起動とログイン時間の差分がどのような理由で生じたのかを確認することで、利用者の運用実態を把握することにつながります(例えば仕事をしようとPCを起動したが、子どもが起きてしまいすぐ業務を開始できなかった、など)。
PCの使用時間(実際に操作していた時間)や未使用時間(操作していない時間)
一定時間、PC操作(キーボードやマウスなどの操作)をしていない場合は「未使用時間」と見なし、その理由を確認します。「PCは使っていなかったが、思考に時間がかかる仕事をしていた」という可能性もあるからです。いわゆる中抜け時間(全く仕事をしていなかった時間)の実態を確認することで、未使用時間の理由も把握できます。
オフィスソフト利用/Webサイト閲覧の時間と内容
オフィスソフトを利用していた時間および、それらを用いて作ったもの(アウトプット)を確認します。調べ物のためにWebサイトを閲覧していた場合、調べた内容がどのようなアウトプットになったのかも可視化する仕組みを用意すると、利用者は自然と無駄な作業を避けるようになり、結果的に業務の質を上げることにもつながります。
メール利用時間やメッセージングツール、リモートミーティング利用時間
仕事を進めるに当たって、コミュニケーションも重要な要素です。顧客や取引先、社内とのメールに割く業務工数に加え、チャットツールなどを用いたやりとりの時間、リモートミーティングツールを用いた会議時間なども業務時間として可視化しましょう。
スマートフォンを使って電話ミーティングをする場合は、PCに履歴が残らないため、別の方法で情報を収集し整理することになります。PCに履歴を残すためにも、PCを用いたコミュニケーションツール利用を推奨します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策
情報セキュリティ対策をしたくても、ITに詳しい人が社内外にいなくて困っている中堅・中小企業は多いのではないでしょうか。「知識不足」と「ヒト、モノ、カネ不足」の問題が目の前にあっても、対策は待ったなしの状況。予算を握る上司を説得するために、サイバー攻撃の事例を紹介しながら、その効果的な対策につながる情報セキュリティ製品を分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] 「自社に合うEDR」はどれか分かる? 比較・検討時の見極めポイントを解説 -
製品資料
[アルプス システム インテグレーション株式会社] まだ社内で眠らせたまま? AI活用の糧となる「データ資産」を有効利用するには -
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] “SCS評価制度”対応の第一歩、自社環境と要求事項とのギャップを把握する方法 -
製品資料
[株式会社BREXA Technology] 情報整理の自動化でインシデントの初動対応を効率化、AIエージェント活用のコツ -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
Claude Codeでは「エージェントを作るな、スキルを作れ」 Anthropicが示すAI構築術
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
-
7
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
8
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
9
「ERP(統合基幹業務システム)の導入・活用」に関するアンケート
-
10
【基本情報技術者試験】データを複数ディスクに分散する「RAID」の仕組みと特徴
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
3
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
7
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
8
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
9
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
10
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー