Excelは便利だから使い続けたいが、Excelでは限界を感じる局面もある――こうした迷いを持つ人は、「Excelの限界」を知っておくと、「脱Excel」に踏み切るべきか否かの判断に役立ちます。
ほとんどの企業が使っている表計算ソフト「Microsoft Excel」(以下、Excel)。便利なツールですが、本来の目的を超えて“使いこなし過ぎる”ことが、かえって業務効率を低下させてしまったり、業務の属人化につながってしまったりする場面があるのではないでしょうか。
このコラムでは、日常業務でよく見掛けるExcelの活用例を紹介しながら「こんな場面は脱Excelを考えた方がよい」「こういうExcelの活用法はお薦め」といった知見を紹介します。
「Microsoft Excel」を使用する業務の代替を想定するシステムでは、キャッチフレーズとして「Excelではもう限界」といった表現を見掛ける場合があります。では、Excelの何を対象として「限界」と称しているのでしょうか。ここで言われている限界とは、おおよそ3つに分類することが可能です。1つ目はExcelの「仕様上の限界」、2つ目はExcelの「性能上の限界」、最後の1つはExcelの「管理的な限界」です。
「Excel 2003」を使用した経験のある方は覚えていらっしゃるでしょうか。Excel 2003までは、1つのシートに表示できる行数は仕様上、6万5535行でした。一般的な用途では、それほど困るような制限ではありませんでしたが、システムのログをExcelに取り込もうとしたり、Excelをデータベース的に使用したりしようとすると、この制限の影響を受けることがあり、対応に苦慮した方もいるかもしれません。「Excel 2007」以降は、この制限が大幅に緩和され、1つのシートで表示できる行は104万8576行に拡張されました。
他にも、セルの有効桁数は15桁という制限もあります。試しにセルに「1234567890123456」と入力してみると、セルには「1.23457E+15」と表示されます。一方、数式バーには「1234567890123450」と表示されているはずです。1の位は、有効桁数の制限を越えてしまうため、値が0になってしまうのです。このように16桁目以降の数値は入力した通りに反映されないため、16桁以上の数値を厳密に計算する必要がある場合は、注意する必要があります。
Excelの関数は、データの加工や集計をする際に非常に便利な機能ですが、関数の使用数が多くなるに従って、Excelのファイル容量を増やしてしまいます。1つ2つの関数では問題はないのですが、大量の関数を使用するとExcelファイルの容量が数十MBになることもあります。ファイルの容量が大きければ、ファイルを開く時間が長くなり、その時間は作業ができず無駄な時間となってしまいます。
「VLOOKUP」「SUMIF(SUMIFS)」「COUNTIF(COUNTIFS)」といった、指定した範囲から検索条件に合った数値を抽出、集計するような関数は、指定した範囲を検索するため、検索範囲が広範囲に及ぶ場合、計算に時間がかかります。指定した条件に合致するセルに色を付けたり、文字を装飾したりできる条件付き書式も同様の理由で、多用すると処理に時間がかかる原因となります。
このような関数や条件付き書式は、データ分析の結果として表を作成するときによく使われます。さまざまな切り口で分析をするうちに表の項目や数は増えていくために関数の使用量が増えていきます。さらにレポートとして提出するために表の見栄えを良くしようとすると、条件付き書式を多用することにつながります。するとファイルサイズが巨大になってしまい、なかなかファイルが開かなかったり、Excelが関数の計算結果を表示するために数十分を要したり、といったことも起こることになります。
Excelは、その使用により企業として適切に管理できなくなるリスクもはらんでいます。管理リスクはおおむね2つに大別されます。
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