Excelのピボットテーブルを利用したデータ分析はすぐに始められる。さらなる“発見”のために、今回はBIを実現するOLAPの基本を押さえつつ簡単にデータ分析ができる各社専用ツールについて紹介しよう。
前回の「オフィスに眠るExcelデータから新発見? クロス集計を活用する」では、Microsoft Office Excel(以下、Excel)のピボットテーブルを利用して、企業内で蓄積された大量のExcelデータをクロス集計し、さまざまな角度からデータを分析してみた。ピボットテーブルによって、一見バラバラに見える受注(売り上げ)データから、受注最多の営業所や、受注の多い時期、売れ筋の人気商品、売上成績の良い担当者など、知りたい情報や相関関係を即座に読み取ることができる。
前回はあまり言及しなかったが、実はExcelのピボットテーブルは、BI(ビジネスインテリジェンス)を実現する、いわゆる「OLAP(On-line Analytical Processing:オンライン分析処理)」と呼ばれる多次元分析処理を提供する要素技術の1つだといえる。ピボットテーブルは、多次元データ分析を行える手軽な「クライアントツール」と見なすこともできるからだ。Excelのピボットテーブルでは抽出、分類、集計、並び替えなどの機能を使ったデータ分析が可能だが、データソースとしてExcelファイルだけでなく、多次元化されたデータベース(キューブ)なども扱える。
OLAPは、企業内に蓄積されたデータから取り出した多次元データベースを活用し、そこから用途に応じて必要な情報を素早く取り出して集計・分析する技術だ。Excelのピボットテーブルは、OLAPの基本として挙げられる「ドリルダウン」(データ集計の基準を細かいレベルで精査する)、「スライシング」(データ集計の基準となる切り口をスライスして見せる)、「ダイシング」(集計表の軸を回転させることで見せ方を変える)の機能を有している(図1)。
もちろん、Excelシート上のデータを加工するピボットテーブルだけでもいろいろな分析に対応できるが、さらにデータ分析や情報活用が進展してくると、社内にある基幹業務系データベースなどを盛り込んで、多次元分析にもチャレンジしたくなるだろう。とはいえ、データソースとなる多次元キューブの構築や外部データベースへの連携などは、BIが初めてのユーザーにとってハードルが高く感じられるかもしれない。
マイクロソフト製品の場合は、例えば「SQL Server 2005 Analysis Services」(SSAS)でOLAPキューブを構築したり、Excel標準搭載の外部データ取り込み機能を使って外部データベースとの連携を比較的容易に実現できる(画面1)。これにより、Excelのピボットテーブルと、基幹系の業務データ、Office Access、SQL Serverとを連携させられるほか、ODBC接続が可能な他社製データベース(Oracle Databaseなど)のデータを活用することも可能だ。
ただし、もし予算に余裕があるなら、Excelのピボットテーブルによる分析をさらに一歩進めて、商用のOLAP製品を導入するという選択肢もあるだろう。複数のデータベースからさまざまなデータを参照しながら、より複雑な分析や効率的なリポーティングを実現するというものだ。分析作業量が多い場合には、OLAP用のデータウェアハウス/データマートなどを立ち上げてソースデータベースへの負荷を低減することができる。今回は、このようなサードパーティーツールを利用した多次元分析について紹介する。
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