外食サービス業が教える、売上高を引き上げるIT活用視点業種別に切る! 中堅・中小企業のITソリューション【最終回】

中堅・中小企業のIT活用を業種という観点から俯瞰する本連載。今回は、消費スタイルが多様化する中、EDIやモバイルの活用で異業種とのエコシステムを構築する外食サービス業を取り上げる。

2011年03月10日 11時00分 公開
[岩上由高,ノークリサーチ]

 中食(なかしょく)や通販といった消費スタイルの多様化、少子高齢化など社会構造の変化により、外食サービス業は従来行ってきたIT活用による利益率の向上に加え、売り上げ(トップライン)を引き上げるための課題に直面している。そこでの取り組みには、外食サービス業以外の業種にも役立つ視点がある。今回はこうした外食サービスの取り組みを紹介していく。

従来型外食サービス業支援システムは本部中心の効率改善が中心

 まず、外食サービス業を支えるITソリューションを概観しておこう。外食サービス業の業務は実際に飲食サービスを提供する「店舗」と管理業務を行う「本部」に大別される。店舗は各所に点在しており、それらが本部と密に連携している必要がある。こうした構造から、外食サービス業では比較的早い段階からASPSaaS(Software as a Service)形態でのシステム導入が行われていた。以下は、外食サービス業を支援する一般的な業務システムを図示したものである。

画像 外食サービス産業を支援する業務システムの主な構成要素

 それぞれの構成要素の主な役割は次の通りだ。

店舗側 レシピ管理 各メニューに必要な食材や調理法を管理するシステム
発注/仕入管理 レシピ管理のデータに基づいた食材やナプキンなどの消耗品を本部へ発注する
勤怠/労務管理 社員やアルバイトのシフト管理などを担う
売上/損益管理 POSシステムから得られたデータを本部へ送信するとともに店舗単位での売り上げや損益の状況を把握する
本部側 受注管理 店舗から送られた食材や消耗品の発注を受け付ける
仕入れ先管理 食材や消耗品を仕入れ先に発注し、それらを各店舗に納品する役割を担う
支払い/請求管理 フランチャイズ店舗に対する請求処理や仕入れ先に対する支払いなどを管理する
店舗管理 店舗の基本情報管理(出店計画管理など)やフランチャイズ管理などを行う

 上記のように、従来の外食サービス業支援システムは受発注処理を本部が担い、安価かつ迅速に食材や消耗品を調達することによって利益を改善している。さらに各店舗の売上状況を本部に集約し、計画的かつ効率的な店舗展開を進めるという、本部を中心とした効率改善が主眼であったといえる。

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