小売業の取り組みに学ぶスマートフォン/タブレット端末の活用法業種別に切る! 中堅・中小企業のITソリューション【第3回】

小売業でスマートフォンやタブレット端末の利用が活発になっている。IT投資が抑制されがちな状況において、認知度向上や顧客分析でモバイル端末を活用する小売業の最新事情を紹介しよう。

2011年02月01日 08時00分 公開
[岩上由高,ノークリサーチ]

 本連載では、中堅・中小企業のIT活用を「業種」という視点からふかんしている。第3回となる今回は小売業について取り上げる。小売業において昨今注目される動きは、スマートフォンやタブレット端末の活用だ。小売業におけるモバイル端末の活用事例には、他の業種にも応用が可能なヒントが隠されている。それらも含めて、モバイル端末活用の最前線を見ていくことにしよう。

「IT活用の手詰まり感」を打開する新たなソリューション

 まずは小売業における業績とIT投資の経過を押さえておこう。以下のグラフは年商500億円未満の小売業に対して「IT投資DI」および「経常利益DI」(※)を尋ねた結果の遷移を示したものである。

図1 小売業におけるIT投資DIと経常利益DIの変化

※IT投資DIは、今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した「IT投資意欲指数」。経常利益DIは、四半期ごとに前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」。

 2010年5月に向けて市況感は回復を続けていたものの、2010年11月にはエコカー補助金終了や円高などによる輸出伸び悩み(特に新興国向け)といった影響が波及し、再び下降に転じる動きとなっている。全国にチェーンを展開する大手小売業の中にはプライベートブランド(PB)を強化するなどの施策で業績を堅持している企業もあるが、中堅・中小は内需の影響を特に受けやすい。実際、2010年11月時点で経常利益が減少した理由として「国内の需要はまだ回復していない」という指摘も目立つ。

 こうした状況下では、当然ながらIT投資も抑制傾向とならざるを得ない。2010年11月には経常利益の減少と同期する形でIT投資DIが27ポイントも下落している。だが、IT投資が減少する理由は、単に業績不振による予算縮減だけではないという点に注意が必要だ。

 IT投資額を減らす理由を尋ねた結果では「IT投資の必要性は感じているが、それだけの資金余力がない」を挙げる企業が40%と首位ではあったものの、「現状を維持する以外、特にITに対して投資をする必要はない」という回答も35%に上っている。また、「IT投資の必要性は感じているが、何をすべきか判断できない」とする意見も少なくない。つまり、中堅・中小の小売業では“IT活用の手詰まり感”が大きな課題であるといえる。

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