モバイルデバイス管理(MDM)主要ベンダーの比較で分かった「5つの選定ポイント」IBM、MobileIron、Sophos、VMwareを比較(1/2 ページ)

最適なモバイルデバイス管理(MDM)製品を導入するには、どのような観点で選定すればよいのか。主要ベンダーの比較を通じて、選定のポイントを考える。

2018年02月14日 05時00分 公開
[Matthew PascucciTechTarget]
画像 EMM製品の中核要素でもあるMDM製品の選定ポイントを探る

 「モバイルデバイス管理」(MDM)製品は、スマートフォンやタブレットを管理し、そのセキュリティを確保するために、企業の間で幅広く利用されている。企業がMDM製品への投資で実現できるのは、モバイルデバイス自体の保護だけではない。その中にあるデータや、接続先となる社内LANも保護できる。

 MDM市場は飽和状態になっているものの、絶えず新しいベンダーが参入し続けている。モバイルセキュリティの大手ベンダーは中小の専業ベンダーを買収し、そのテクノロジーを自社のモバイル管理製品に組み込んでいる。創業当初からMDM製品を提供し続けているベンダーも存在する。

 モバイルセキュリティ市場の競争は非常に激化している。企業が自社環境にとって最適なMDM製品を見極めるのは、かつてないほどに難しい。選択を容易にするため、本稿ではMDMの発展型ともいえる「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)の主要ベンダーの製品を評価した。これらのベンダーは、いずれもEMM製品の要素や単独製品としてMDM製品を提供している。

 評価には、企業がMDM製品を調達、導入するときに考慮すべき最も重要な基準を用いた。例えば以下の基準だ。

  • 導入形態
  • アプリケーションのセキュリティ確保
  • コンテナ化と非コンテナ化
  • ライセンスモデル
  • ポリシー管理

 本稿で主に取り上げるEMMベンダーは、以下の4社だ。

  • IBM(「MaaS360」のFiberlink Communicationsを買収)
  • MobileIron
  • Sophos
  • VMware(AirWatchを買収)

 その他、EMM専業ベンダーのGood Technologyを買収したBlackBerryのように、自社製デバイスのみのセキュリティ保護、管理から脱却し、より広範なMDM市場への移行を企てるニッチなベンダーも存在する。他にもGoogleは「Android」の搭載デバイス用の管理支援ツールを提供しており、Microsoftはモバイルデバイスを管理するために、「Windows」に小規模なMDM機能を組み込んでいる。

 企業で使用されているモバイルデバイスの大多数は、Appleの「iOS」かAndroidを搭載する。この状況はスマートフォンもタブレットも変わらない。そのため本稿では、主にiOSデバイスとAndroidデバイス向けの管理機能とセキュリティ機能に注目する。ただし本稿執筆時点のMDM製品のほとんどは「Windows Phone」「BlackBerry」といった他のデバイスも管理できる。

 企業が自社に最適なMDM製品を選ぶのは容易なことではない。MDM製品を導入する前に、ここで紹介する5つの基準を利用して、5つの重要な質問をベンダーにすることをお勧めする。自社のニーズを満たす適切なMDM製品の調達が容易になるだろう。

基準1.導入形態

 企業は自社のモバイルデバイスの導入状況と、MDM製品に求める要件を把握し、綿密な計画を立ててからベンダーの検討に入るべきだ。

 MDM製品には2種類の導入形態がある。1つ目はオンプレミスだ。オンプレミスのMDM製品は基本的に、社内LAN内の追加サーバとして扱うことになる。MDM製品によっては、社内LANとインターネットの間にあるDMZ(非武装地帯)にサーバを導入する必要がある。その場合はファイアウォールの構成変更が必要になったり、サーバリソースが必要になったりする。導入後の適切な管理も必要になる。MDM製品に定期的にパッチを適用し、脆弱(ぜいじゃく)性をスキャンしなければならない。

 中小企業ではオンプレミスのMDM製品の導入を敬遠する可能性がある。前述の要件に加え、導入や運用に専門知識を求められることが、その原因だ。一方で企業がオンプレミスのMDM製品を導入、運用できれば、MDM製品を完全に企業の管理下に置くことができる。

 2つ目は、MDM製品の機能をクラウドサービスとして利用可能にしたMDMサービスだ。

 MDMサービスであれば、運用負荷やノウハウ面の懸念を軽減できる。VMwareやSophosのようなEMMベンダーは、MDM製品全体をクラウドに配備し、ユーザー企業がインターネット経由でMDM機能を利用できるようにしている。

 MDMサービスには長所も短所もある。運用ノウハウや人員が足りないなど、リソースの限られた企業がMDM製品を素早く導入するには、MDMサービスが大いに役立つ。だがユーザー企業側が完全には管理できないクラウド内にデータを配置することになり、これがリスクとなる。

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