「Jakarta EE 10」を待つのも選択肢か
「Jakarta EE 9」の“パッケージ名だけ変更”が意外と厄介な理由
Oracleの手元にあった「Java EE」は、Eclipse Foundationの下で「Jakarta EE」に名前を変えた。さらに「Jakarta EE 9」の登場でパッケージ名が変わった。単に名前が変わっただけだが、その影響は以外と大きい。
プログラミング言語および開発・実行環境「Java」の企業向け仕様群として、Oracleが管理していたのが「Java Enterprise Edition」(Java EE)だ。同社が非営利団体Eclipse FoundationにJava EEを移管した後、Java EEの名称は「Jakarta EE」に変わった。2020年12月、Eclipse Foundationは移管後初のフルバージョン「Jakarta EE 9」を公開した。
Java EEの元来の開発元はSun Microsystemsであり、開発を引き継いだのがOracleだ。Oracleは2017年、さまざまなオープンソースプロジェクトを管理するEclipse FoundationにJava EEのソースコードを寄贈した。Java EEからJakarta EEへの名称変更では、仕様の内容や定義する機能自体は変わっていない。
Jakarta EE 9のパッケージ名変更が引き起こす“あの影響”
Eclipse Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるマイク・ミリンコビッチ氏によると、Jakarta EE 9の目的は「javax」という文字列を含むパッケージ(拡張機能)名を「jakarta」に変更することだ。Eclipse Foundationは、今回の名前変更を「ビッグバン」と呼んでいるという。
Jakarta EE 9では非推奨メソッド(処理)の削除や、バグの修正といった内容の変更は一切ない。変わるのは名前だけだ。Jakarta EEのパッケージのうち、名称にjavaxを含むものにひも付くクラス(データおよびデータの操作に使うメソッドの定義)やインタフェース(クラスが実装するメソッドの名前やデータ型などの定義)、列挙型(複数の定数をまとめたデータ型)の名前が変わる。例えば「javax.servlet.GenericServlet」というクラス名は「jakarta.servlet.GenericServlet」になる。
この変更が必要になったのは、主に法的な理由による。OracleはJava EEをEclipse Foundationに寄贈したが、「Java」という単語の商標は引き続きOracleが所有するためだ。
Java EE準拠コンポーネントを利用するアプリケーションの開発者は、Jakarta EE 9ベースのアプリケーションサーバ(APサーバ)に該当アプリケーションを移行する際、作り直しが必要になる。開発ツールやデプロイ(配備)ツールも変更しなければならない。
例えば統合開発環境「Eclipse IDE」で、APサーバで稼働するJavaアプリケーション「Java Servlet」(Javaサーブレット)を作成するとする。このときJavaサーブレットを動かすためのAPサーバとして、Jakarta EE 9準拠の「Apache Tomcat 10」を利用したとしても、Eclipse IDEのデフォルトのクラス名はJava EEベースのクラス名だ。Eclipse IDEが従う規則にはJakarta EE 9のクラス名は存在しないため、エラーが発生して「プログラムが破損している」と警告を受けてしまう。
Jakarta EE 9に対する開発者の対応
ソフトウェアベンダーOpenValueでCTO(最高技術責任者)を務めるベルト・ヤン・シュライバー氏の考えは「Jakarta EE 9は開発者向けの新機能はなく、主に開発用ツール向けのバージョンだ」というものだ。開発者がJakarta EE 9に切り替えるとしたら、その主な目的はアプリケーションをJakarta EE 9準拠にして次のJakarta EE 10に備えることだとシュライバー氏は指摘。「Jakarta EE 9をスキップし、次のJakarta EE 10を待つことも選択肢だ」と語る。
シュライバー氏は「まずJakarta EE 9に移行して次にJakarta EE 10に移行するという段階的な方法を選びたい」と言う一方で「状況次第でその判断は変わる」とも話す。利用するAPサーバでまだJakarta EE 9が使えなければ、移行しても意味がないからだ。
「Jakarta EE 9の初期リリースをパッケージ名変更のみにとどめるという判断が、開発者コミュニティーが取るべき対処をシンプルにした」とシュライバー氏は評価する。「もし名前変更の他に新機能も追加されていたら、もっと複雑な対処が必要になっていただろう」(同氏)
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