「Windows Server」のパフォーマンスを高めるには、さまざまな手段がある。メモリの無駄をなくしたり、不要な機能やプログラムを廃止したりすることによるパフォーマンス向上策を紹介する。
サーバOS「Windows Server」において、処理の高速さやレイテンシ(遅延)の短さといったパフォーマンスを向上させるこつを紹介する本連載。前編「Windows Serverを速くする『SSD』『ReFS』採用と『ファームウェア更新』の勧め」に続き、Windows Serverの無駄をなくしてパフォーマンスを高める3つのこつを紹介する。
できの悪いアプリケーションは「メモリリーク」という問題を引き起こす場合がある。動的に確保したメモリを解放せず、メモリ使用量が増え続ける問題だ。
Windows Serverにおいては通常、アプリケーションはOSを介してメモリを確保し、不要になったら解放する。メモリリークが起こると、アプリケーションが不要になったメモリを解放せず、再度メモリを使用するときに十分なメモリを既に確保しているにもかかわらず、さらにメモリを要求する。そうなると他のアプリケーションが使用可能なメモリは徐々に減少し、最終的に全体のパフォーマンスが低下してしまう可能性がある。
こうしたメモリリークの発見に役立つツールが、Windows Serverが標準搭載する監視ツール「Performance Monitor」(実行ファイルの名称から「perfmon」と呼ばれることもある)だ。Microsoftはサーバ管理ツール「Windows Admin Center」の「バージョン1910」にPerformance Monitorの機能を盛り込んだ。
Performance Monitorは、稼働中のアプリケーションのメモリ使用状況を追跡できる。そのアプリケーションのメモリ使用量が増え続けていたら、メモリリークが発生している疑いがある。その場合はアプリケーションベンダーに報告し、必要に応じて修正を求めるとよい。
Windows ServerとWindowsには、メモリの内容を一時的にストレージに退避させる「ページング」という機能がある。ページングによって生成するファイルを「ページファイル」(「ページングファイル」とも)と呼ぶ。
ページファイルは物理メモリ不足を補うために使われることがある。ただしパフォーマンス向上の観点から考えると、メモリの不足分を物理メモリとして搭載する方が、ページファイルで補うよりも望ましい。その他、ページファイルはシステムクラッシュダンプファイル(システムエラーが発生した場合にメモリの内容を吐き出すファイル)としても使用される。
Windows Serverでページファイルを使うと決めた場合は、データ読み書きが高速なストレージに配置すべきだ。ページファイルのサイズについてはMicrosoftのドキュメントをチェックし、適切に設定する必要がある。
1台のサーバや仮想マシンにつき1つのアプリケーションだけを実行するのが原則だ。この原則は問題のトラブルシューティングを容易にするだけでなく、システムパフォーマンスの向上にも役立つ。複数のアプリケーションを同時に実行すると、ハードウェアリソースの取り合いが発生するからだ。
Windows Serverが補助的なアプリケーションを必要とすることも比較的よくある。例えばマルウェアスキャナーやバックアップエージェント、管理エージェントといったアプリケーションだ。こうしたアプリケーションのうち不可欠なものだけを実行すれば、ビジネスアプリケーションに割り当てるCPUコアやメモリといったリソースを最大化できる。
後編は残る4つのこつを紹介する。
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