「Docker」を用いてコンテナをデプロイ、管理する上で、コンテナ実行に特化した軽量なホストOSを採用することにはさまざまな利点がある。コンテナ運用向けの機能を備えた4つの主要なコンテナホストOSを紹介する。
コンテナ技術は、アプリケーションをパッケージ化することで、アプリケーションのデプロイ(実環境への配備)や更新を容易にする。コンテナを扱う上で重要になるコンテナ管理ツールの代表例が「Docker」だ。Dockerは「Linux」「macOS」「Windows」などさまざまなOSにインストールできるが、コンテナ化アプリケーションをエンドユーザーに提供することを考えると、そうした一般的なOSでDockerを稼働させることが余計な手間を生む可能性がある。エンドユーザーが利用するOSやシステムリソースなどの違いを考慮する必要があるからだ。
こうした課題への解決策になるのが、コンテナのデプロイと管理に特化したOSだ。以下でDockerユーザーが知っておくべき、主要なコンテナ管理用OSを4つ取り上げる。
「RancherOS」はDockerコンテナを組み合わせたOSで、Dockerのデプロイに特化している。RancherOSは余計なライブラリ(プログラム部品群)やコンポーネントを削除したミニマルなOSだ。そのシンプルな構造は、セキュリティと安定性を強化している。パッチや更新の適用や、問題が発生した場合の復旧も容易だ。
RancherOSは仮想化ソフトウェアで作成した仮想マシン、クラウドサービスとして提供される仮想マシン、ベアメタルサーバ(物理サーバ)で動作する。リポジトリ共有サービス「GitHub」には、デプロイ方法に関する情報がまとめられている。
「Ubuntu Core」は大規模なコンテナデプロイメントに適したOSだ。Linuxディストリビューション(配布パッケージ)の「Ubuntu」「Debian」に慣れているエンドユーザーにとっては、ファイル構造やコマンドが共通しているため操作しやすい。システムの自動バックアップや、アップデート時のトランザクショナル更新(複数の作業をまとめて1つの単位として扱い、全ての作業が完了しない限り変更を反映させない仕組み)機能といった機能が特徴だ。問題発生時には状態を自動的にロールバックし、問題が生じたコンテナをLinuxのセキュリティモジュール「AppArmor」で隔離する。
「Alpine Linux」はコンテナ管理に特化したOSではないが、その軽量性から、コンテナ化アプリケーションのベースイメージとして広く普及している。ベースイメージは、コンテナの基本的な機能をまとめたイメージ(アプリケーションと実行環境をまとめたもの)を指す。
開発者は、Alpine Linuxをベースイメージとしてコンテナを構築することも、Alpine Linuxをベアメタルサーバ(物理サーバ)にインストールしてホストOSとして使うことも可能だ。ただし、コンテナのホストOSとして使うには特定の作業を要する。
「DC/OS」(Distributed Cloud Operating System)は、分散システムのリソース管理ツール「Apache Mesos」を基にしたオープンソースのOSだ。クラウドサービスおよびデータセンターにある複数マシンの一元管理や、コンテナのデプロイを支援する。
ネットワーク、サービスディレクトリ、リソースの自動割り当て機能を有し、パイプライン(データ処理の一連の工程)で収集したデータをリアルタイムに分析できる点が、DC/OSの特徴だといえる。こうした特徴は、ビッグデータを扱うコンテナ化アプリケーションにとって有用だ。
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