ITリーダーが直面する「DX」の3大課題【中編】
ITリーダーは「DX推進に必要なIT人材がいない」問題をどう解決すればよいのか?
テレワークの普及は人材採用に寄与するとの声があるものの「IT人材不足がビジネスの妨げになっている」と悩む企業はいまだに少なくない。ITリーダーが取り得る現実的な解決策は。
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)によって、顧客と市場のニーズが大きく変化した。前編「ITリーダーは『コロナ禍で生まれた新たな顧客ニーズ』にどう応えればよいのか?」の通り、デジタル時代に適応するためにビジネスや企業風土を変革する「DX」(デジタルトランスフォーメーション)の実現を目指す企業は、まず顧客ニーズの変化を捉える必要がある。
新しい技術分野を取り入れてDXを推進する上では、新しい技術分野に適応できるIT人材が不可欠だ。ただしIT人材不足は世界的に共通の課題でもある。どのように解決すべきか。
課題2.ニーズに応えられるIT人材の不足
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世の中のCEO(最高経営責任者)は、飛行機の中で注目の技術に関する資料を読んだり、他社がいかにして独自のデータや技術の開発に成功したかという報告を読んだりするような人物ばかりではない。ただし、ほとんどのCEOは技術の重要性を認識している。CEOはこれまで以上に、CIO(最高情報責任者)をはじめとするITリーダーに「強力かつ安全でスケーラブルな技術」を提供してほしいと期待している。
問題は、そのような技術の提供に必要なITスキルが企業にあるかどうかだ。
人材紹介やアウトソーシングを手掛けるHarvey Nash Groupと、国際会計事務所のKPMGが発表したITリーダー意識調査「Harvey Nash / KPMG CIO Survey 2020」によると、IT人材不足がビジネスの妨げになっていると答えた企業の割合はCOVID-19パンデミック前は66%、以後は54%だった。ただし2008年の金融危機のときと比べると減少幅は小さく、技術スキルの需要は依然として高い。
COVID-19の影響でテレワークが進み、地理的な制限が緩和したことで技術系スキルを持った人材を確保しやすくなったものの、セキュリティやアーキテクチャ、システムインテグレーションに関する専門知識の確保は依然として重要課題だ。この分野の専門知識は、2021年にますます必要となってくる。これらのカテゴリーには膨大な種類の製品とサービスがあり、似通った機能や紛らわしい用語が山のようにある。最適な成功基準を満たす効率的なPoC(概念実証)を実施するには、ビジネス推進要因と技術的機能をよく理解している必要がある。マルチクラウド推進やデータ活用、アプリケーション間連携といった専門知識も必要だ。
次のステップ
企業IT人材不足を埋めるために2021年にやるべきことは、巨大IT企業のIT戦略をまねるのをやめることだ。大半の企業にはGoogleのような人材もなければ、Netflixのような企業文化も、Spotifyのようなアジリティー(敏しょう性)も、大手金融機関のようなIT予算もない。
ITリーダーはIT人材の不足を補うために、次のことを検討しよう。
- 外部のIT専門家を探す。特にITを使ったビジネス習慣とシステム選定については外部の専門家を活用する。
- ローコード/ノーコード開発ツールでアプリケーション開発を簡素化する。
- ITベンダーと連携してアプリケーションのモダナイズ(最新化)を推進する。
- 少数の戦略的なシステムに投資を集中させ、中核的研究拠点を構築する。
- 分析の専門家ではないがデータ分析に取り組む従業員「シチズンデータサイエンティスト」を育て、能動的なデータガバナンスでIT部門以外の分析力を高める。
- パブリッククラウドで特定の専門分野について実証し、DevOps(開発と運用の融合)を即日実施する。
- ユーザーニーズの理解に加え、システムのアジャイルなプランニングやデリバリー(配備)、インテグレーションに社内の能力を集中させる。
データと技術分野への投資が必要な企業の全てが、ITベンダーと同様の方法で成功するわけではなく、それを目指すべきでもない。必要なアーキテクチャ、ビジネス習慣、スキルは、それぞれの企業にとって現実的で実現可能なものでなければならない。幸い今日のITベンダーは、産業別のニーズに応えるために、ITを一般企業にも利用しやすくしようと競い合っている。
後編はDXの成功を妨げる古い組織構造とリーダーシップスタイルの改革について解説する。
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