AI技術活用を進める上で、アプリケーション開発において「Python」よりも「Java」を採用する企業が多いという調査結果がある。なぜ企業はJavaを選ぶのか。その背景には、企業のIT活用特有の事情がある。
アプリケーション開発ツールを手掛けるAzul Systems(以下、Azul)は2025年1月、プログラミング言語「Java」の現状を調査したレポート「2025 State of Java Survey & Report」を公開した。このレポートは2024年秋に2039人のJavaユーザーを対象として実施したアンケート調査をまとめたものだ。
レポートによると、30年の歴史を持つJavaは時代とともに進化し、AI(人工知能)技術を活用した先進的なアプリケーション開発にも利用されている。回答者の50%がJavaを使ってAIアプリケーション(AI技術を活用したアプリケーション)を構築していることが判明した。この割合は、AIアプリケーションやAIモデルの構築と強い結び付きがある「Python」など他のプログラミング言語をしのいでいる。それはなぜなのか。
企業がJavaをAIアプリケーション開発に採用している理由として、AzulはJavaのスケーラビリティや豊富なライブラリ(機能群)、企業システムとの連携性を挙げる。
「われわれはOpenJDKに携わる者として、JavaとAI技術の連携を強化することに注力している」と、AzulのCEOスコット・セラーズ氏は述べる。OpenJDKは、Javaの開発・実行環境「Java Development Kit」(JDK)のオープンソース版だ。
セラーズ氏によると、大規模言語モデル(LLM)にクエリを送信するためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使用して、JavaでAIアプリケーションを構築する動きが目立っている。この方法は、Pythonなど他のプログラミング言語を使って、データ処理のアドホッククエリ(その場限りのクエリ)を実行するデータサイエンスの手法とは異なるものだ。
「本番環境のアプリケーションが何十万人、何百万人ものエンドユーザーのリクエストを同時に処理する必要がある場合、スケーラビリティや回復力、セキュリティの面でJavaが適する」とセラーズ氏は強調する。同時に、Javaが数十年にわたって試行錯誤と検証を重ねてきたことから、企業向けアプリケーションの運用において極めて安定した、信頼性のある技術であることも指摘する。
次回は、Oracle JDKのライセンス変更がもたらす影響と、企業が取るべき対処を紹介する。
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