利用するクラウドサービスを増やすほど、コストの管理は困難になりIT部門の負荷は重くなる。どうすればいいのか。
企業がベンダーロックインを避け、自社のプロジェクトや財政状況に合う最善のサービスを求めるようになるにつれ、複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」の採用が広がり続けている。
クラウドサービスの数を増やすほど、コンピューティングのリソースの監視や管理が難しくなり、適切なコストを把握することが難しくなっていく。マルチクラウドでも適切にコストを管理するために必要な取り組みを解説する。
IT部門は、クラウドサービスの管理や最適化ツールの選択に進む前に、まず、コスト配分のモデルを明確に定める必要がある。コスト配分とは混在した複数の組織やチームにクラウドサービスの費用を適切に配分することだ。コスト配分モデルを作成するには、IT部門だけではなく、財務部門や業務部門などの関連組織と協力してクラウドサービスの要件を確認する必要がある。
利用しているクラウドインフラの機能を理解すればより管理しやすくなる。例えばクラウドサービスベンダーAmazon Web Services(AWS)の同名サービスには、各リソースにタグを割り当てることができる。タグによって各部門やチーム、プロジェクトがどの程度のコストを費やしたか確認できるようになる。
リソースにタグを付ける方法以外にも、クラウドサービスを利用するアカウントを、ステークホルダーごとに決める方法もある。
コスト配分モデルを決めることで責任が明確になり、データに基づく意思決定が可能になる。マルチクラウドにかかるコストの傾向を把握するにつれ、コスト配分モデルを定期的に見直し、改定するよう計画する。
複数のインフラにまたがるリソースの使用状況や指標を確認する優れた方法はダッシュボードを利用することだ。自社向けにカスタマイズしたレポートは、マルチクラウドのコストを最適化する重要な要件となる。
クラウドサービスの全てのリソースを識別するために、あらゆるサービスで包括的にタグを付けることが望ましい。マルチクラウドのリソースを相互に関連付ける「リソースマッピング」の機能やサービスは、企業がクラウドサービスの使用パターンを把握し、コストを最適化するための選択肢を理解するのに役立つ。
作業の自動化もコスト削減には欠かせない。自動化によって人為的ミスがなくなり、IT部門は空いた時間を他のプロジェクトに振り分けることができる。マルチクラウド全体でクラウドコストを最適化するのに効果がある自動化の例は次の通りだ。
データを正しく解釈し、実用的な洞察を生み出すには、企業のあらゆる部門やチームが協力する必要がある。そのためには、複数のクラウドサービスベンダーのデータを集約できる統合監視ツールが役に立つ。
後編は適切なコスト管理ツールの選び方を解説する。
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