ビジネスプロセスマネジメント(BPM)と人工知能(AI)技術の組み合わせによって得られる価値は幾つもある。しかし運用に際しては注意が必要だ。リスクを正しく理解し、メリットを最大化するヒントを探る。
IT活用とともにビジネスプロセスの改善を目指す「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM:Business Process Management)は、人工知能(AI)技術との組み合わせによって飛躍的な進化を遂げている。後編となる本稿は、AI技術のおかげでBPMのアプローチが変化した11個の具体例のうち、9〜11つ目を紹介。AI技術がもたらす価値や、導入時の注意点についても説明する。
プロセスマッピングは業務プロセスを可視化することで、その理解を助け課題を解決する手法だ。プロセスマッピングを自動化するだけでなく、改善や自動化が可能な要素を検出するのにAI技術を活用する事例は既に幾つか登場しているという。データ分析ベンダーDAS42のプリンシパルコンサルタント、ジェフ・スプリンガー氏によると、ある製造業はAI技術を使って生産ラインをリアルタイムで監視。潜在的なボトルネックや異常を特定し、オペレーターに是正措置を通知するようにしている。この結果、生産量が10%増加したという。
ビジネスプロセス分析は従来、専門家による手作業の取り組みと見なされていた。しかしAI技術の登場で、以下の手法を通じた分析と意思決定の工程が加速する可能性がある。サイバーセキュリティコンサルティング企業S-RM Intelligence and Risk Consulting(S-RMの名称で事業展開)の米国事業開発責任者であるスティーブン・ロス氏は、そう説明する。
テキストや画像などを自動生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)と自然言語処理(NLP)の組み合わせによって、AIチャットbotやバーチャルアシスタントが登場した。それらをBPMに統合すると、以下のような業務を自動化したり効率化したりすることが可能となる。
NLPは「顧客からのフィードバック」や「ソーシャルメディアの投稿」といった情報源の非構造化データを分析し、洞察を獲得するのにも役立つ。
総括すると、AI技術が業務プロセスの改善にもたらす価値とはどのようなものなのか。AI技術活用を支援するGryphon Networks(Gryphon.aiの名称で事業展開)で製品管理のバイスプレジデントを務めていたブライアン・スティール氏は、コールセンターの業務を例に以下を挙げる。
ただし、BPMとAI技術の組み合わせには、以下のような課題やリスクもある。
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