IT業界団体のCompTIAの認定資格は、エンジニアの間で根強い人気を誇る。特にクラウドサービスに関するある認定資格が、エンジニアの実力を証明するのに有効だ。なぜなのか。
世間ではAI(人工知能)技術に関する話題が盛り上がっている。その一方で、クラウドサービスに精通しているエンジニアはIT業界で依然として需要がある。さまざまなベンダーや団体がクラウドサービスに関する認定資格を設置している。
中でもIT業界団体のコンピュータ技術産業協会(CompTIA)の認定資格は、特定のサービスに依存しない技術力を証明する資格として人気だ。クラウドサービスに関連する認定資格としてはどれを持っておくといいのか。どのような技術力の証明になるのかを含めて紹介しよう。
CompTIAのクラウドサービス関連の資格としては「CompTIA Cloud+」(以下、Cloud+)がある。Cloud+は業務でクラウドサービスの開発や運用を担うエンジニア向けに、スキルやベストプラクティスへの理解を評価する試験だ。概要は以下の通り。
Cloud+はCompTIA内で上位の認定資格だ。そのため同団体は、Cloud+の受験前に、ネットワーク技術の資格である「CompTIA Network+」およびサーバー技術の資格である「CompTIA Server+」の知識を持っている他、システム管理またはネットワークに関して実務経験を2〜3年間積むことを推奨している。
Cloud+の学習目標には、認定資格試験で重視される概念と実務スキルの習得が挙げられており、以下の5つの領域が対象となる。
Cloud+試験の受験者は、クラウド移行時の設計やデプロイの課題、VPC(仮想プライベートクラウド)といったネットワークのアーキテクチャについて理解する必要がある。CompTIA認定資格試験の常として、試験トピック全体にわたって、セキュリティの要素が強い。ライトサイジング(規模や用途に沿って適切なリソースやコストでシステムを設計すること)やスケーリングについての理解もCloud+では重要だ。
企業は一般的に、クラウドサービスについては統合的なアプローチを取っている。所有するサービスはオンプレミスや複数のクラウドサービスに分散してホストしている。企業はサービスを複数のインフラに分散させることで、サービスを最大限に活用するとともにコストの最小化を図る。そのために管理者には、クラウドベンダー間でワークロード(アプリケーション)を適宜切り替えるスキルも必要になる。最適なクラウドストレージを選ぶための知識も必要だ。
これらのトピックに関する知識が充実していれば、Cloud+の取得につながり、キャリアを前進させることができるだろう。
後編では、CompTIAのクラウド認定資格「CompTIA Cloud Essentials+」について解説する。
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