“脅威に対する備え”の意味とは
ランサムウェア10億ドル被害の製薬会社が「ネットワーク自動化」を導入した訳
ランサムウェアによる攻撃を受けたMerck & Co.が事後の改善策として選んだのは、意外にもネットワークの構成や運用を自動化する「ネットワーク自動化」だった。その狙いとは。
大手製薬会社のMerck & Co.は2017年にランサムウェア(身代金要求型マルウェア)「NotPetya」による攻撃を受け、10億ドルもの損失を被った。同社はこの経験を受け、将来的な攻撃に対する耐性を高めるため、広範にわたってネットワークの俊敏性を高める対策に着手した。この一環で導入したのが、ネットワークの構成や運用を自動化する「ネットワーク自動化」製品だ。
Merck & Co.のネットワークには、世界各国に位置する数百カ所の拠点と数十カ所の工場にある約2万5000台ものデバイスが接続している。同社は自社のネットワークへの出入りを厳重に規制するために、ネットワークインフラを最新化し、Microsoftの最新OSとクラウドベースのアプリケーションを運用できるようにする必要があると考えていた。
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「ランサムウェア」対策を考える
数あるネットワーク自動化製品からMerck & Co.が選んだのはGluwareの同名製品だ。「効率的にネットワーク構成を変更し、クラウドベースのアプリケーションのネットワーク設定にかかる時間を削減することに成功した」。Merck & Co.でネットワークの設計や運用を担当するサルバトーレ・ラナジージ氏はこう語る。
ネットワーク自動化は何をもたらしたのか
Gluwareを導入する以前は、クラウドアプリケーションの設定に9カ月もの時間がかかることもあったとラナジージ氏は言う。MicrosoftのOS「Windows 10」とオフィススイート「Office 365」への移行を計画していた同社は、これらの運用開始まで9カ月も待つことはできなかった。Merck & Co.はGluwareを使い、クラウドサービスが生み出すトラフィックを最適化し、必要なサービス品質を確保できるようにした。
ラナジージ氏は「Gluwareを使用すると、2時間足らずでグローバルのネットワークのサービス品質を必要なレベルに調整できる」と説明する。Merck & Co.は以前、プログラミング言語「Python」や構成管理ツール「Ansible」を使用してネットワーク自動化を試みていた。だが「多種多様な製品やさまざまなコードが混在していたため、ネットワーク全体に自動化を広げることはできなかった」(ラナジージ氏)。
Merck & Co.は自動化モデルの記述に約3カ月の期間を要した。これはGluware導入に関する作業の約90%に相当する。「業界の標準的な構成に基づいてこの自動化モデルを構成したが、必要に応じてカスタマイズをした」とラナジージ氏は話す。同社はGluwareでテンプレートを構築する際、社内の既存の標準構成テンプレートを使用した。
ラナジージ氏によると、Gluwareによるネットワーク自動化によって、ネットワーク構成の変更に費やしていた時間の約98%を削減できた。その結果、ネットワークに対する変更1つにつき22万ドル以上のコストを節約し、Gluwareの導入1年目にして200万ドル以上のコスト削減に成功したという。
企業のネットワーク運用の刷新を迫るクラウド
「クラウドの誕生によって企業ITには俊敏性が求められ、ネットワークにはプログラムによる運用管理が求められるようになった」。そう語るのは、調査会社Gartnerでアナリストを務めるアンドリュー・ラーナー氏だ。「大半の企業は数十年前に導入したレガシー機器を使用する大規模なインフラを運用しており、これも大きな問題になる」とラーナー氏は指摘。Gluwareにより、複数ベンダーの製品で構成されるネットワークの構成や運用をプログラムによって自動化できると説明する。
Gluwareはアクセス制御の自動化によるセキュリティ強化もできるように設計されている。これはGluwareがMerck & Co.にもたらしたもう一つのメリットだ。現在、Merck & Co.はネットワークへのアクセスを承認済みの機器に対してだけ許可するコードを使用して、スイッチのポートを保護している。
Merck & Co.はGluwareを使って他にも幾つかの重要なネットワーク機能を自動化している。その一つがソフトウェアのアップデート自動化だ。これによってネットワーク機器のソフトウェアを常に最新にしておくことができる。「ネットワーク自動化製品は『LEGO』ブロックのようなものだ。運用開始には3カ月かかったが、設定が完了すればGluwareを利用してネットワーク自動化の機能を短時間で導入できる」(ラナジージ氏)
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