災害時に備えた予備のインフラをクラウドサービスとして利用できる「DRaaS」。主要クラウドベンダーのうち、Amazon Web ServicesとMicrosoft Azureの主要なDRaaSを取り上げる。
「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)は、災害復旧(DR)に必要なインフラをクラウドサービスとして利用できるサービスだ。DRサイトを導入するときのコストを削減し、運用をシンプルにする。前編「いまさら聞けない『DRaaS』の基礎 災害対策にクラウドを使う意味は?」に続く本稿は、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどのクラウドベンダーが提供するDRaaSを説明する。
AWSは2019年にクラウド移行ツールベンダーのCloudEndureを買収した。CloudEndureの技術を基にしたAWSのサービスに、DRaaSの「CloudEndure Disaster Recovery」とクラウド移行サービスの「CloudEndure Migration」がある。
ユーザー企業はCloudEndure Disaster Recoveryを利用することで、オンプレミスのインフラや他ベンダーのIaaS(Infrastructure as a Service)とAWS間、またはAWSの「リージョン」(地域データセンター群)間でデータを複製できる。CloudEndure Disaster Recoveryはその他、アプリケーションの最新状態または過去のある時点へと復旧するPITR(ポイントインタイムリカバリー)機能や無停止のリストア訓練機能などを備える。
IT管理者は、VMwareのDRソフトウェア「Site Recovery Manager」と、サーバ管理ソフトウェア「vCenter Server」の拡張機能であるレプリケーション機能「vSphere Replication」を使用して、AWSをDRサイトにすることもできる。VMwareのソフトウェアをAWSのクラウドサービス群で実行できる「VMware Cloud on AWS」を併用すれば、オンプレミスのインフラでDRサイトを構築する場合とほぼ変わらなくなる。
MicrosoftはAWSと同様、買収を通じてDRaaSを強化しつつある。同社のDRaaS「Azure Site Recovery」を利用することで、IT管理者はオンプレミスのインフラで運用中のアプリケーションをAzureに複製できる。Azure Site Recoveryは、Azureのリージョン間での複製に加えて、「Windows」を実行しているAWSのインスタンス(仮想サーバ)をAzureに複製する際にも利用できる。無停止のリカバリーテストやRPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)の設定などの機能を搭載する。
Azure Site Recoveryは、リカバリー自動化プロセスのカスタマイズ機能も備える。複雑なシナリオはランブック実行サービスの「Azure Automation」やコマンドラインインタフェース(CLI)の「Azure PowerShell」を使って実行できる。
後編は、Googleの「Google Cloud Platform」やIBMの「IBM Cloud」、Oracleの「Oracle Cloud Infrastructure」で利用できるDRaaSを説明する。
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