バイデン政権下で巨大IT企業はどうなる【前編】
バイデン政権誕生で「GAFAの解体」が進むのか?
反トラスト政策を支持する勢力は、バイデン政権が反トラスト関連の訴訟や法制化を進めると予想する。本当にそうなのか。
連邦政府の反トラスト法(独占禁止法)訴訟など巨大IT企業を相手取った行動が続く。こうした中、次期大統領に選出された米民主党のジョー・バイデン氏は一層の規制強化を推進し、巨大IT企業の解体を続ける見通しだ。
バイデン氏の大統領就任と、カマラ・ハリス氏の次期副大統領就任は2021年1月20日(現地時間)だ。米議会や連邦規制当局、州、国民の間では、Google、Apple、Facebook、Amazon.comの大手4社(GAFA)をはじめとする巨大IT企業に対する超党派の反トラスト法支持勢力が着実に勢いを増している。
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巨大IT企業の市場独占に対する過去の動向
前回の政権交代時に生じた変化
反トラスト政策に対するIT業界の感情
「バイデン政権が巨大IT企業に対する反トラスト法執行の動きをあえて緩めるとは思えない」。非営利団体Washington Center for Equitable Growthの市場・競争政策担当ディレクター、マイケル・ケイズ氏はそう予想する。
反トラスト政策に対するIT業界内部の感情を把握するのは難しい。経営者が巨大IT企業と反トラスト政策について語りたがらないのは、自社がそうした企業と取引関係にあるためか、あるいは単に、そうした大手を独占企業と見なしていないためだ。
Google、Apple、Facebook、Amazon.comのうち、新政権への期待に関する取材に応えてコメントを寄せたのはFacebookのみだった。Facebookはバイスプレジデント兼法律顧問ジェニファー・ニューステッド氏の名で寄せた声明で次のように述べている。
ユーザーやスモールビジネスがFacebookの無料サービスや広告を選んで使っているのは、そうしなければならなかったからではなく、われわれのアプリケーションやサービスが最も高い価値を実現できるからだ。われわれは、人々がその選択を継続できる能力を今後も精力的に守る
バイデン氏およびハリス氏と巨大IT企業との関係
ところがバイデン政権が、巨大IT企業に対して大胆な姿勢を取らないことをうかがわせる兆候もある。
バイデン氏、ハリス氏ともシリコンバレーで多額の資金を調達し、LinkedInの共同創業者リード・ホスマン氏のようなIT業界の人物から陣営は何百万ドルもの寄付を集めていた。Facebook共同創業者のダスティン・モスコビッツ氏やGoogleの最高経営責任者(CEO)だったエリック・シュミット氏といったIT大手の有力者は、ドナルド・トランプ大統領打倒を目指す自らの政治行動委員会(スーパーPAC)に数百万ドルを注ぎ込んだ。
特筆すべきこととしてバイデン氏もハリス氏も、民主党の予備選候補者だった上院議員エリザベス・ウォーレン氏が掲げた巨大IT企業分割計画を支持しなかった。
ウォーレン氏は、FacebookからInstagramとWhatsAppを切り離し、Amazon.comからWhole Foods Marketを分離し、Googleから検索およびマーケットプレース事業を切り離すことなどを提案した。
対照的にバイデン氏とハリス氏は、比較的ビジネス寄りの民主党議員だと見なされており、シリコンバレーだけでなくウォール街とも関係が深い。バイデン氏の政権移行チームは、巨大IT企業に批判的なメンバーよりも、IT企業の幹部の方が多い。
一部の支持者も含めて米国民の間には「あまりに強大かつ傲慢(ごうまん)になり過ぎたと見なす超大手企業に対しては、国が何らかの行動を起こすべきだ」という国家的コンセンサスが形成されつつあるようだ。
結局のところ、バイデン氏は反トラスト政策を支持する活動家や議員からの訴えに対して友好的だと見なされている。これは次期政権が広範な反トラスト政策を推進するための舞台が整っていることも一因だ。
中編は反トラスト政策に対する米政治家の動向を解説する。
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