いまさら聞けない「DRaaS」の基礎 災害対策にクラウドを使う意味は?AWS、Azure、GCPのDRaaS【前編】

DRサイトを構築する手段として「DRaaS」がある。DRaaSを利用するメリットと、大手クラウドベンダーのAWSとMicrosoft、Googleの動向を説明する。

2020年12月25日 05時00分 公開
[Kurt MarkoTechTarget]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりで、災害復旧(DR)戦略の見直しを迫られた企業は少なくない。テレワークに移行した従業員のために、インターネット経由でアクセスできるクラウドサービスの導入を進める企業もある。

 こうした背景から、クラウドサービスとの親和性が高いDRサイトを構築する必要性が高まりつつある。その手段となり得るのが、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)など主要なクラウドサービス群の「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)だ。

DRaaSとは

 DRaaSは、DRに必要なインフラをクラウドサービスとして利用可能にすることで、DRサイトの導入コストを削減し、運用をシンプルにする。

 本番サイトに障害が発生したときに、DRaaSはクラウドベンダーのデータセンターにDRサイトを立ち上げ、本番サイトに代わりアプリケーションを自動的に起動させることができる。本番サイトが復旧した後、DRaaSはDRサイトのデータを本番サイトに同期し、稼働を停止する。

 大手クラウドベンダーは総じて、DRaaS市場への参入が遅れた。各社は自社のデータセンターで、サードパーティーにDRaaSを運用してもらうことを重視していたためだ。その後AWSとMicrosoftは、自社で開発したDRaaSの提供を開始した。一方でGoogleは本格的なDRaaSを提供するのではなく、ユーザー企業がクラウドサービスでDRサイトを構築する際に利用できるドキュメントの提供にとどめている。

 DRaaSのシステムが稼働するのはクラウドベンダーのデータセンターだ。そのためDRaaSを選定するときは、自社で利用するクラウドサービスと同じベンダーのサービスがあるかどうかを検討するとよい。


 中編は、AWSが提供するDRaaSを紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news076.jpg

2025年のバレンタインのトレンドを購買実態から分析 「カカオショック」の影響は?
読売広告社は、ショッパーインサイトの食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM...

news078.jpg

生成AIへの期待値の変化 DeepSeek台頭がマーケターに突きつける課題とは?
AI 生成の広告に対する反発が続いた1年を経て、マーケターはパフォーマンス結果重視で非...

news128.png

2024年に視聴者が検索したテレビCM 2位は中国のあのEVメーカー、1位は?
2024年にテレビCMを通して視聴者が気になりWeb検索したものは何だったのか。ノバセルが発...