半導体ベンダーBroadcomは、仮想化ソフトウェア市場で支配的地位にあるVMwareを買収する。その優越的地位が市場に悪影響を与える可能性を危惧して、英国政府が調査に乗り出している。
半導体ベンダーのBroadcomは2022年5月、仮想化ソフトウェアベンダーのVMwareを約610億ドルで買収すると発表した。両社の合併が、政府機関や金融企業、通信事業者のサーバコストを引き上げる可能性があるという理由で、英国の競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority)は2023年3月22日(現地時間、以下同じ)、調査に乗り出すと発表した。この買収劇の何が問題視されているのか。
CMAの調査は2022年に始まった。CMAは1回目の調査において、Broadcomによる買収が、VMwareの製品と、Broadcomのライバル企業が提供するハードウェア製品にどのように影響するかを調査した。
調査の結果Broadcomが、コンピュータがLANに接続するために必要なNIC(ネットワークインタフェースカード)といった、VMwareのサーバ仮想化ソフトウェアと相互運用性のある製品の市場において、Broadcomの競合への製品供給を制限する可能性があった。「競争が減り、最終的には顧客の選択肢が狭まることを懸念している」と、CMAは2023年3月22日に発表した声明の中で述べている。
Broadcomの競合がVMwareに提供している商業上の機密情報を、Broadcomが手に入れる可能性があることも判明した。BroadcomがVMwareを買収することで、サーバの市場価格が高くなる可能性がある。
CMAはこの懸念を払拭可能な事業案を5営業日以内に提示するようBroadcomとVMwareに求めたが、両社はこれを拒否した。そのため、CMAはより詳細な2回目の調査を実施すると発表した。
2023年3月29日、CMAはリチャード・フィージャー氏をリーダーとした5人の調査チームを結成した。今後は同チームが調査を主導することになる。CMAによれば、同チームは今回の合併が「英国のさまざまな市場において商品やサービスの競争の大幅な減少」につながる可能性について、2023年9月12日までに調査を終え、報告する計画だ。
中編は、CMAによる調査が世界各国から注目を集めている現状とその背景を説明する。
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