Broadcomは買収するVMwareのブランドを維持する計画だ。ただしVMwareの従業員やユーザー企業の間には、“ある不安”がくすぶっているという。それは何なのか。
半導体ベンダーBroadcom(ブロードコム)は2022年5月、約610億ドル相当の現金と株式で、仮想化ベンダーVMware(ヴイエムウェア)を買収することに合意した。Broadcomの最高経営責任者(CEO)を務めるホック・タン氏は、同社が販売する既存のインフラ関連製品とセキュリティソフトウェアをVMwareブランドに組み込む計画を明らかにした。
実際には買収が2023年に完了したら、VMwareの製品やサービスが整理の対象になるのではないか――。VMwareの従業員とユーザー企業は、こう危惧している。
VMwareのユーザー企業は、Broadcomが近年買収した他のベンダーと同じような運命をVMwareがたどることを危惧しながら、成り行きを見守っている。2年制の職業大学Milwaukee Area Technical CollegeでITアーキテクトと講師を兼任するブライアン・カーシュ氏は、次のように語る。「タン氏は敏腕実業家だ。こうした買収が自社にもたらす短期的、長期的な経済的影響を認識している」
「Broadcomが高収益のVMware製品とサービスだけを残して、それ以外を売却するのではないか」との懸念が、VMwareの従業員から挙がっているという。他にも人員削減を心配する声や、VMwareのネットワークセキュリティ製品「VMware NSX Intelligence」といった将来性のある製品への投資が打ち切られることを心配する声もある。
VMwareの従業員とユーザー企業が抱く心配の背景には、Broadcomが買収先のベンダーで人員削減や事業の売却を実施してきた経緯がある。次回はその経緯を具体的に説明する。
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