Samsungは「Galaxy」シリーズと外付けディスプレイの組み合わせで、「VMware Horizon」の仮想デスクトップを利用可能にした。PCなしでのデュアルディスプレイを実現する、この機能の意味とは。
Samsung Electronicsは、VMwareのデスクトップ仮想化製品「VMware Horizon」による仮想デスクトップで、「Galaxy」シリーズのスマートフォンまたはタブレットをサブディスプレイとして利用できるようにした。エンドユーザーはPCがなくても、メインのディスプレイとGalaxyシリーズのディスプレイのデュアルディスプレイで、「Windows」の仮想デスクトップを利用できるようになる。
Galaxyシリーズが内蔵するソフトウェア「Samsung DeX」は、本体を外付けディスプレイやキーボード、マウスといった周辺機器に接続して、AndroidアプリケーションやWindowsアプリケーションを大画面で利用できるようにする(写真)。Galaxyシリーズと周辺機器の接続には、BluetoothかUSB Type-Cケーブルを使う。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が長引き、ユーザー企業はテレワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドワークに取り組んでいる。Samsung DeXへのVMware Horizonのデュアルディスプレイ機能の搭載について、IT調査会社IDCのアナリスト、フィル・ホチマス氏は「ほぼ完ぺきなタイミングだった」と解説する。
外付けディスプレイを使うことで、Galaxyシリーズを使った業務の生産性が向上する可能性がある。「ユーザー企業の従業員が、PCの代わりにGalaxyシリーズと外付けディスプレイを使うようになる可能性がある」と、IT調査会社Forrester Researchのアンドルー・ヒュイット氏は言う。IT管理者にとっては、デバイスのリモート管理がしやすくなるとヒュイット氏は指摘する。「完全なPCを従業員の自宅に届ける必要がなくなり、幾つかの周辺機器だけで済むようになる」(同氏)
今回の機能が利用できるのは、2022年2月にSamsungが発表したタブレット「Galaxy Tab S8」シリーズや、スマートフォン「Galaxy S22」シリーズなどのタブレットやスマートフォンだ。
SamsungはVMwareに加えてMicrosoftとも提携して、MicrosoftのDaaS(Desktop as a Service)「Windows Virtual Desktop」をSamsungデバイスで実行できるようにした。スペックの向上に伴い、モバイルデバイスでの仮想デスクトップの利用は、より現実的になりつつある。中でも金融業界や医療業界は、業務内容に合わせてPCの代わりにモバイルデバイスを使う傾向にある。
デスクトップ仮想化を利用することで、従業員はデバイスを紛失したり、盗まれたりした場合のデータ漏えいを防ぎやすくなる。Samsung DeXは仮想デスクトップでのマウス入力を可能にし、モバイルデバイスを使ったデスクトップ仮想化の利便性をより高める。
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