半導体ベンダーBroadcomが仮想化ベンダーVMwareを買収する。Broadcomは買収先企業の、収益性が低い事業を廃止してきた歴史がある。この方針はVMwareの事業にどのような影響をもたらすのか。
半導体ベンダーのBroadcomは、仮想化ベンダーVMwareを約610億ドルで買収すると、2022年5月に発表した。Citrix SystemsとVMwareの両仮想化ベンダーでは、同時期に合併や買収の計画が明らかになったことになる。
VMwareを買収したのは投資ファンドではない。ただし買収元のBroadcomは、優れた技術を持つ企業を買収し、吸収した技術で利益を上げながら、利益を上げにくい事業のコストを削減するという、投資ファンドに似た特徴がある。
これまでにBroadcomは、データセンター管理ソフトウェアベンダーのCA TechnologiesやセキュリティソフトウェアベンダーのSymantecを買収している。Broadcomは買収後、これらのベンダーの収益性の低い部門を売却または完全に撤廃し、中核だと考える製品とサービスに投資を集中させている。
デスクトップ仮想化市場では、BroadcomがVMwareの仮想化事業をどう評価するかが関心事だ。BroadcomがVMwareの仮想化以外の事業だけに価値を見いだし、仮想化部門を売却する可能性はゼロではない。だがVMwareの主力事業である仮想化部門をなくしてしまうことは考えにくい。
VMwareはさまざまな仮想化製品を提供している。そのため買収後も仮想化事業が存続するのであれば、製品ラインアップを進化させるチャンスだ。BroadcomがVMwareのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Horizon」の事業を継続させるなら、Broadcom傘下ベンダーの製品と組み合わせることで、製品ラインアップを強化できる可能性がある。
BroadcomによるVMwareの買収は2023年に完了する見込みだ。ただし欧州連合(EU)の独占禁止法に関する調査のため、さらに時間がかかる可能性がある。
次回は、デスクトップ仮想化市場で独自の立ち位置を確立させているMicrosoftの動向を追う。
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