CitrixとVMwareのVDI製品はそれぞれ、仮想デスクトップを配信する複数の仕組みを用意している。それぞれの仕組みの違いとは。
「VDI」(仮想デスクトップインフラ)の主要ベンダーとして、Citrix Systems(以下、Citrix)とVMwareが挙げられる。CitrixはVDI製品群の「Citrix DaaS」(旧「Citrix Virtual Apps and Desktops」)を、VMwareは「VMware Horizon」を提供している。
CitrixとVMwareはこれらのVDI製品群に、仮想デスクトップのイメージファイル(以下、仮想デスクトップイメージ)を作成して配信するプロビジョニングの仕組みを複数用意している。それぞれの仕組みの違いは、仮想マシン(VM)を作成するためのゴールデンイメージ(テンプレートとなる仮想デスクトップイメージ)の複製方法に表れる。
プロビジョニングの仕組みとして、Citrixは「Provisioning Services」(PVS)と「Machine Creation Services」(MCS)を提供している。PVSは専用サーバを介して、1つの仮想デスクトップイメージを複数のエンドユーザーに配信する仕組みだ。専用のサーバが必要となり、初期設定が複雑になる一方、ストレージの利用量を抑えられるため、大規模な仮想デスクトップの利用に適している。
MCSはゴールデンイメージを基に、各エンドユーザー分の仮想デスクトップイメージを作成して配信する仕組みだ。仮想デスクトップを配信するためのサーバを追加で用意する必要がなく、小規模な仮想デスクトップの利用に適している。
VMwareは「インスタントクローン」「フルクローン」というプロビジョニングの仕組みを用意している。同社は「VMware Horizon 8」(VMware Horizon Version 2012)でプロビジョニングの仕組みである「リンククローン」を廃止し、後継の仕組みとしてインスタントクローンを提供している。
インスタントクローンは、ゴールデンイメージのゲストOSやアプリケーションを複数のエンドユーザーの仮想デスクトップイメージで共有し、エンドユーザーごとの設定やデータを差分で保持する。フルクローンは、エンドユーザーごとに専用の仮想デスクトップイメージを作成する。
仮想デスクトップイメージの作成や管理、ストレージに掛かるコストは、組織がどちらのベンダーの、どのプロビジョニングの仕組みを選択するかによって異なる。
第4回は、エンドユーザーが仮想デスクトップにリモートアクセスする際に利用できるネットワークセキュリティ機能を比較する。
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