英国の鉄道会社GTRは、再利用可能なPC600台を慈善団体に寄付する。寄付したPCはどのような用途に利用され、どのような効果をもたらすのか。同社が寄付を決定した理由とは。
使わなくなったPCは「廃棄するのが当然だ」と考える人がいるが、その考え方は当然ではなくなる可能性がある。英国の鉄道会社Govia Thameslink Railway(GTR)は、従来使用していた合計600台のPCを、慈善団体The Turing Trustに寄付する計画を発表した。GTRはその一環で、2022年8月にまず70台のPCをThe Turing Trustに寄付した。対象のPCはまだ使える状態ではあるものの、同団体は使用しないことに決めた。
The Turing Trustは、IT機器の再利用(リユース)と教育支援に取り組む慈善団体で、英国の数学者アラン・チューリング氏の親戚が2009年に創設した。同団体は2009年の創設以降、10年間でアフリカ各国の学生5万5000人以上にPCを提供してきた。「ITが持つ変革の力を、全ての子どもが享受できるようにすること」が同団体の掲げる目標だ。
今回GTRが寄付したPCのほとんどは、The Turing Trustが2016年から支援を実施しているマラウイの学校に提供される他、一部は英国における地域社会の支援にも使用される。
The Turing Trustは、デスクトップPCを再利用できるように整備して寄付することで、以下を実現する。
GTRが寄付を決定した理由はこうだ。同社が従来利用していたPCは最新のソフトウェアを利用できなくなった。そのためPCを刷新し、従来のPCは廃棄せずに寄付することにした。従来のPCは最新のソフトウェアを利用できないとはいえ、再利用が可能な状態だったからだ。経済的余裕がない慈善団体や学校といった組織にとって、このようなPCは貴重なIT資産になる。
The Turing Trustは寄付するIT機器について、英国政府の基準に従ってデータを確実に消去した後に必要な整備や修理を実施しており、正常に機能する状態だと説明する。
「GTRが寄付するPCを活用することで、約1万800人の学生がITスキルを習得できる」と語るのは、The Turing Trustの創設者ジェームズ・チューリング氏だ。GTRの寄付は168トン相当のCO2排出量の削減につながる。チューリング氏によると、それは以下に相当する量だという。
「IT機器に“第2の人生”を与えることで、大勢の人の暮らしを変えることができる」と、GTRでIT部門の責任者を務めるエイダン・シャナハン氏は語る。「リユースPCに対する需要は高い」とみて、シャナハン氏は余剰なIT機器を保有する組織にThe Turing Trustへの寄付を呼び掛ける。
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